研究概要 |
本研究では、気体・液体ヘリウム中や真空中でレーザーアブレーション、光マニピュレーション技術などを組み合わせることで、金属微粒子を作製、選別、配列する技術を開拓することを目的としている。この際、マイスナー効果を利用して、超伝導微粒子を選別することを目指す。 In, Ti, Cuなどを対象として、レーザーアブレーションを空気中、真空中、液体ヘリウム中で行い、いずれの環境下でも金属ナノ粒子が作製できることを見いだした。さらに、生成されたナノ粒子を含む微粒子の飛散状況を調べ、超流動ヘリウム中では数時間のオーダーで微粒子が浮遊していることを確認した。 上記の結果を受け、超流動ヘリウム中でレーザーを照射することにより、より粒径の小さな集団のみを選別して、センチメートル程度離れた位置に輸送、すなわち光マニピュレーションを行うことを試みた。走査型電子顕微鏡による観察で、アブレーションで得られた非常に広い粒径分布と異なり、粒径数百nm以下のナノ粒子のみが光マニピュレーションされることを明らかとした。 一方、液体あるいは気体ヘリウム中に磁場勾配を設けることで、マイスナー効果を利用して超伝導体の粉末を特定の場所に捕捉することにも成功した。この結果を受け、高温超伝導体酸化物のレーザーアブレーションによるナノ粒子作製とそれに続く光マニピュレーションを試みた。しかしながら、アブレーションの際、価数変化が生じている可能性を見いだし、その詳細の解明が必要なことが明らかとなった。この件を解決して、再度本研究を遂行する予定である。 他方、本研究で活用した電子線照射に伴う発光であるカソードルミネッセンスを他の対象にも適用し、ナノ酸化物の光学応答やナノ蛍光体による細胞イメージングへの応用についても端緒を得た。
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