研究課題
紅色光合成細菌の光アンテナ系の励起エネルギー移動効率が極めて高いことがよく知られているが、本研究ではこれがアンテナ系の円環構造に由来すると仮定し、次のような計算でその機構を明らかにした。すなわち、一軸性の色素分子が2次元平面内にランダムに配置されている場合と、合計として同数の分子が多くの円環構造を形成している場合を考え、そのエネルギー移動効率を非局所応答理論に基づいて評価した。その結果、円環構造の方が桁違いにエネルギー移動効率が高いことを突き止めた。原因としては、次の3要素が考えられた。すなわち、(1)円環の双極子モーメントが色素単体のそれより大きいこと、(2)円環構造が等方的な対称性を持っていること、(3)円環構造を取ることによってエネルギーのキャリアとして大きな面積を占有すること。特に(2)(3)によって、そもそもランダムに色素を配置した場合に、その方向と位置のランダム性によりエネルギー移動が阻害されるという、生体系では一般に避けられない要素が克服されるからであることが分かった。これらの成果は生体分子が持つ特異な形状の意味の謎に迫るものであると共に、人工的なエネルギーキャリアの創成に対する指導原理を与えるものである。
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