研究課題
本研究では、超分子化学と超高速領域の光物性研究を融合させ、シクロデキストリン複合体(CD複合体)という魅力ある分子を、ナノ構造の光物性の舞台に引き出すことを目指す。具体的には、CD複合体が糖と結合したときの発光の振る舞いを光物性の立場から研究し、CD複合体の発光・消光のメカニズムと、光励起キャリアのダイナミクスを解明する.その過程において、CD複合体のナノ構造としての特徴を抽出し、光物性の分野で活躍させる基礎を築く。以上の研究目的で本研究は開始し,CD複合体のCDの大きさの影響,および,蛍光プローブの溶液依存性などで,様々な成果を得ることができた.具体的には,1.ボロン酸型蛍光プローブを有したCD複合体の基礎光学スペクトルを測定し、各スペクトルの起源を明らかにした.CD複合体に対して、吸収スペクトル、発光スペクトル、励起スペクトルなどの基礎光学スペクトルの測定を行った。測定はすべて水溶液で行うため、申請者が経験したことのない測定対象であったが、光学測定には特に問題が生じることはなかった。水溶液のpHを変化させた測定、単独の分子溶液の測定などを通して、吸収・発光スペクトルに存在するいくつかのピークの起源をすべて確定した。2.蛍光プローブの溶液依存性の測定蛍光プローブでは,ピレン蛍光団からフェニルボロン酸へと光誘起電子移動が起き,蛍光が失活する.この電子移動について,溶液の水濃度依存性を詳細にしらべ,電子移動のメカニズムの解明に迫った.まだ完全な解明には至っていないが,この研究は引き続き温度依存性も取る予定であり,これにより完全な解明に至ると予想している.
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Analytical Sciences
巻: 30 ページ: in press
DOI: 10.2116/analsci.30.***