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2013 年度 実績報告書

3He偏極装置の高度化に向けた単結晶セルの開発と3He高偏極化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23654107
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

猪野 隆  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 講師 (10301722)

キーワード3He偏極 / 偏極中性子
研究概要

Heの同位体である3Heの原子核はスピンに依存した大きな熱中性子吸収断面積を持つため、核偏極した3Heガスに対して中性子を透過させればスピン偏極した中性子ビームが実現できる。
3Heの核偏極は、スピン交換法あるいはメタスタビリティー法により実現できる。スピン交換法では、Rbなどアルカリ金属原子の不対電子を光ポンピングにより偏極させ、この偏極電子と3He原子核がスピンを交換することにより3He核偏極が達成される。十分な強度の光があればRbの電子は100%に近い偏極が得られる。Rbと3Heのスピン交換断面積については実験・理論の両面から理解が進んでおり、それによればRbの電子偏極と同程度の3He核偏極が達成できるはずである。しかし、実際には、温度に依存した原因不明の3He偏極緩和により、3Heの核偏極率は85%程度で頭打ちとなっている。この未知の偏極緩和は3Heガスを封入するセル内壁で起きていることが示唆されており、セル材料の違いにより偏極緩和に大きな差異が確認されている。
3He偏極セルには通常ガラスが用いられているが、もしガラスの多孔質構造がこの偏極緩和と関係していれば、セル材料としてガラスではなく単結晶を用いることにより3He偏極率を上げることができる。そこで、サファイア単結晶を用いたセルを試作し、ガラスセルと同様のプロセスでセルのベーキングを行った。しかし、ベーキング中にサファイア単結晶の一部に亀裂が入り、セルとしての気密が保てなくなった。この亀裂は複数のセルで同様に起きたため、サファイアセルの製作段階で結晶内に生じた歪みが原因と考えられる。この問題を克服すべく歪みの入りやすい部分の接合には耐熱接着剤を用いた新しいセルの試作に着手した。この新しい単結晶セルは研究期間内に完成に至っていないが、今までに得られた知見を生かして単結晶セルによる3He偏極の研究は継続する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Measurement of polarization of 3He with mobile polarized 3He neutron spin filter2014

    • 著者名/発表者名
      T. Ino, G.N. Kim, M.W. Lee, S.M. Lee, J.Y. Kim, S.W. Lee, V.R. Skoy
    • 雑誌名

      Nucl. Instrum. Methods B

      巻: 323 ページ: 87-90

    • DOI

      10.1016/j.nimb.2014.01.018

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Basic Concepts of Polarisation Analysis for Neutron Chopper Spectrometer POLANO at J-PARC2013

    • 著者名/発表者名
      K. Ohoyama, T. Yokoo, S. Itoh, J. Suzuki, K. Iwasa, T. J. Sato, H. Kira, Y. Sakaguchi, T. Ino, T. Oku, K. Tomiyasu, M. Matsuura, H. Hiraka, M. Fujita, H. Kimura, T. Sato, J. Suzuki, H. M. Shimizu, T. Arima, M. Takeda, K. Kaneko, M. Hino, S. Muto, H. Nojiri, C. H. Lee, J. G. Park, and S. Choi
    • 雑誌名

      J. Phys. Soc. Jpn.

      巻: 82 ページ: SA036

    • DOI

      10.1088/1742-6596/502/1/012051

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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