研究課題/領域番号 |
23654112
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 康夫 東北大学, 金属材料研究所, 名誉教授 (00013483)
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研究分担者 |
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90323097)
伊藤 恵司 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80324713)
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キーワード | 新奇強磁性 / 非平衡合成 / メカニカルミリング / 中性子散乱 / 強磁性半導体 |
研究概要 |
強磁性金属をドープして創るエピタキシャルないしスパッタリングで非平衡的に薄膜を生成している試料は低温で熱処理をして準安定相を実現するのがkeyである。中性子散乱をツールとして強磁性相互作用を検出を目標にしている為にバルク試料が必要となるので非平衡状態での試料作製を目指しメカニカルミリングを使って結晶育成を試みた。平成24年度も東日本大震災の影響が残り計画通りの進展は出来なかった。特に測定機器の調整と材料の入手が障害となって当初計画を断念せざるを得なくなった。その上、研究計画の根幹をなすJRR3の中性子散乱実験再開は今の時点でも目処が立っていない。 このような状況下で次の様な実績が得られている。 ZnTeにCr5%ドープした強磁性半導体の創成をメカニカルミリング法によって確立したことは前年の報告にも記述したが、この試料で後述する中性子Brillouin散乱を用いてスピン波の検出実験の準備をしてマシンタイムの割当を待機している。MnO、ZnO、TiOなどの酸化物にMnをドープした試料のメカニカルミリングを行ったが成功には至っていない。LiZnMnAsの試料創成を試行しているが危険なLiをグローブボックス内で処理する為の環境が結局は整えることが出来なかったのは心残りである。 最大の成果はJPARCのHRC分光器を使って中性子Brillouin散乱法を確立し世界で始めてmeV級の非弾性散乱をQ=0.05 で検出可能ならしめた。この成果は研究会や国際会議でも発表しさらに論文も出版予定である。この方法を用いて今年の成果で得られた試料のスピン波励起からの共鳴散乱を観る事に依って強磁性相互作用を決める事が出来る。9月迄に粉末試料の準備をして中性子非弾性散乱実験を行い、新しい非平衡強磁性半導体物質創成の開発方法を発表したい。
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