研究課題/領域番号 |
23654118
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 祐司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50199816)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 重い電子 / 圧力 / 磁場侵入長 / 熱伝導 / 人工超格子 |
研究概要 |
本年度はまず熱伝導、マイクロ波による超伝導対称性の実験を行った。特に鉄ヒ素系高温超伝導体における超伝導対象の測定を行った。この物質は磁気励起による異常に低エネルギーの励起と超伝導の関係に興味が持たれていた。我々は熱伝導度の実験によりこの系は強い電子相関を持つにもかかわらずs波超伝導対称性であるユニークなシステムであることを明らかにした。またマイクロ波吸収の実験によりこの系では、磁性と超伝導の強い相互作用が存在する事も明らかにした。さらに最近発見された重い電子系化合物超伝導体CeMIn5 (M=Rh, Co, Ir)に対して系統的に輸送現象の測定を行い、この系で観測される非フェルミ液体的挙動を示す電子輸送現象を詳細に研究した。その結果これらの電子輸送係数の非フェルミ流体的な振る舞いはすべて高温超伝導体の最適領域近傍で観測されたものを再現している事を明らかにした。さらにURu2Si2の超伝導対称性の研究を極低温で行った。この系はいわゆる隠れた秩序相で超伝導が起こるが超伝導相はあまり研究されていなかった。我々はこの超伝導相が極めて特異なものでありカイラルd波の対称性を持つことを示した。また重い電子系超伝導体の人工超格子の作製を分子ビームエピタキシーにより行い、これまでにCeIn3とLaIn3を薄膜にエピタキシャル成長させることに成功している。またCeCoIn5の超伝導薄膜の作製にも成功しておりCe系のエピタキシャル薄膜は世界で初めての例である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では圧力中で磁場侵入長を測定することを主眼としていた。これまでに圧力セルの開発も終わり、大気圧と同じほどの精度ではないが、圧力中で磁場侵入長の測定に成功した。本年度はさらに分解能を上げた測定の開発を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
トンネルダイオードと圧力セルを組み合わせて、極低温までの磁場侵入長測定を行い、大気圧と同じ程度の分解能の測定を成功させたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
主として圧力セルに用いるグリス等の消耗品と、成果発表のための旅費に使用したい。
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