研究課題
本研究では、圧力中で100 mK以下の極低温までの超伝導体の磁場侵入長の変化を0.02 nmの高精度で測定できる装置を世界で初めて開発する事を目的とした.これにより圧力によって電子状態を連続的に変化させたとき非従来型の超伝導発現機構をもつ超伝導体の超伝導ギャップ関数の構造がどのように変化してゆくかを詳細に調べ、超伝導発現機構の理解を格段に進歩させることをめざした.一般にフォノン機構以外の非従来型の発現機構を持つ超伝導体の超伝導状態は不純物(ランダムネス)に非常に敏感である.電子状態は構成元素の化学置換により変化させることができるが、化学置換では系に不純物を導入してしまうため、しばしば超伝導ギャップ関数の構造決定が困難になってしまう. これに対し圧力効果では不純物の影響を変化させることなく、不純物効果を最小限に抑えた状態で、電子状態を連続的に変化させることができる.本プロジェクトでは、圧力誘起型超伝導体の超伝導ギャップ構造の決定を目的として、トンネルダイオードを用いた超安定化発振回路により圧力下での極低温磁場侵入長測定法を確立し、特に鉄プニクタイド化合物の超流動電子密度の精密測定を圧力下で行った.圧力発生にはピストンシリンダー型の圧力セルを使用し、3 GPa程度までの圧力範囲で、希釈冷凍機温度までの極低温測定を行うことを試みた.現在の所、圧力シリンダー中でのトンネルダイオードの発信に成功している.しかしながら本測定を行うためには圧力シリンダーの温度を0.1 mK以内に安定にする必要がある事が判明し、この解決に思いのほか時間がかかってしまった.この問題を解決するために現在希釈冷凍機クライオスタットの試料ホルダー部分を作製し直しているところである.この問題の解決にはあと2-3ヶ月かかり、その後本研究で提案した実験を開始できると考えている
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JPSJ Online-News and Comments [January 22, 2013]
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