本研究では磁場勾配力による並進運動を利用して,自発磁化を有さない一般の物質の磁化を測定する方法を確立した.具体的には微小重力条件下で,磁場強度が単調減少する空間に反磁性粒子を解放し,それらが磁場ゼロの方向へ並進する速度を解析することで,磁化率を検出した.上記の運動は磁気体積力に由来するため,磁場の外での終端速度は粒子質量に依存せず,磁化率のみに依存する.この速度から磁化率を検出し文献値と比較することにより,物質の種類を非破壊で識別することができる。磁場による物質同定の適応範囲はこれまでの自発磁化を有する一部の物質に限られていたが,今回の計測により一般の固体物質に拡張される展望が得られた.
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