研究課題/領域番号 |
23654125
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
鈴木 博之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (60354370)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 金属絶縁体転移 / 電界効果 |
研究概要 |
初年度は、EuOの単結晶育成とサンプルのキャラクタリゼーション、及びキャラクタリゼーションの効率化のための測定系の開発とFET作製に向けた準備を行った。本研究で目指す電界誘起の絶縁体-金属転移の本質を見極めるためには、FET加工をする前段階でのEuOのキャラクタリゼーションが欠かせない。そのために、様々な物性測定(=キャラクタリゼーション)が可能なバルクのEuO単結晶を育成から行うことが、本研究の特長でもある。 単結晶育成は、EuとEu2O3を出発原料として、タングステン坩堝に高真空中で封入したあと、高周波炉を用いて2000℃近くまで昇温しブリッジマン法により単結晶育成を行った。得られた単結晶は、全体がほぼシングルグレインの約10Φ×1cm程度の大型の単結晶で、NaCl結晶構造の特長的な(100)面の綺麗な劈開面が見られる。得られた単結晶は、比熱、磁化、抵抗等の測定を行った結果を文献値と比較すると、目的とするドナー濃度(酸素欠損濃度)の試料が得られたと考えられる。 また本初年度では、サンプル依存性が強いEuOのキャラクタリゼーションの効率化を目的に、Van der Pauw法の測定系の立ち上げを進めた。測定ホルダー等の開発を行うとともに、本年度は微小電流に対応するスイッチ回路を購入し、来年度には微小電流源を購入する予定である。FET構造の作製に関しては、本研究にFET加工を協力して行う同機構の矢ヶ部氏と有効な絶縁層の素材についての議論を進め、今回の単結晶の劈開面をそのまま利用するEuOに対しては、熱的なダメージを極力抑えるために、イオン液体も試すことになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、最初に単結晶育成を行うことが必要となるが、震災による夏の節電のために、電力を必要とする高周波炉を利用する単結晶育成が予定通りに進まず、そのために全体に予定がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れ気味の研究状況に対し、単結晶育成とキャラクタリゼーションと同時に、FET加工も2年目前半から進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
試料やFET加工の原料及び、測定に必要な部品等として物品費を使用する。また、本研究の調査及び測定のために旅費を使用する。必要な計測器を次年度予算と合わせて購入するため、本年度分の一部を次年度に持ち越している。
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