研究課題/領域番号 |
23654133
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤井 久純 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (70124873)
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研究分担者 |
小倉 昌子 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30397640)
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キーワード | トポロジカル不規則 / 第一原理電子状態計算 / KKRグリーン関数法 / CPA法 / フォノン励起 / 電子フォノン散乱 / 国際情報交流ドイツ |
研究概要 |
有限系シミュレーションやスーパーセル法などを用いずにトポロジカル不規則性を有する金属・合金、混晶の第一原理電子状態計算を可能にする手法を開発することが目的であす。本研究においては2つの異なったアプローチによって、トポロジカル不規則性を第一原理電子状態に取り入れる手法を開発した。1つは、「弱いトポロジカル不規則」を扱うものであり、格子を作る原子の位置が不規則に変位したような場合を取り扱う。変位が格子間隔に比べて小さい(数十%以下)場合を想定して、変位ベクトルでポテンシャル散乱行列を展開する形で定式化を行い、そのような変位がある場合の配置平均をとった電子状態を精度良く、また効率良く計算することに成功した。この方法を用いた応用として、有限温度におけるフォノン効果を取り入れた電子状態計算を行うとともに、伝導率の計算を行うことによって電子フォノン散乱の影響を取り入れた電気伝導の温度依存性を計算することに成功した。第2の方法はアモルファスや液体金属のように大きなトポロジカル不規則性が有る場合であり、これを扱うためにKKRグリーン関数法における構造グリーン関数の配置平均を等方性を仮定して実行する手法を開発した。開発の途中、浅野らによる先行研究があることに気づき、第一段階としては浅野らの手法の検討を行った。その結果、この手法を直接用いようとすると、多くの特異点が現れることがわかった。これらの特異性は原理的にはキャンセルし、最終結果には影響を与えないはずのものではあるが、数値計算上は多くの困難がともなうことがわかった。この点を改良するための新たな方法の開発に着手するとともに、そのための計算機コードを開発中である。また、浅野らの手法では原子ポテンシャルはおおきなトポロジカル不規則があるにもかかわらず、その影響を受ける事を許さないものである。ここにも不規則性を入れる定式化を行った。
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