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2012 年度 実施状況報告書

ES細胞における動的遷移と統計物理

研究課題

研究課題/領域番号 23654147
研究機関名古屋大学

研究代表者

笹井 理生  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30178628)

キーワード国際情報交流アメリカ / 遺伝子ネットワーク / ES細胞 / 揺らぎ
研究概要

ES細胞の多能性を維持するためのコア遺伝子と、分化を促進する遺伝子を組み合わせた複合ネットワークのモデルを構築した。24年度は,このモデルの確率的振る舞いをGillespieアルゴリズムを用いてシミュレートし、Nanog遺伝子の遅いスイッチングがES細胞の大きな揺らぎを説明することを示した。また、Oct4の発現を抑えたときに分化の方向が明確に変わる実験結果を、Nanog遺伝子の遅いスイッチングがあるときにのみ再現できることを示し、ES細胞の大きな揺らぎに、分化方向決定を明瞭にする効果があることを示した。また、これらの結果をエピジェネティックランドスケープによって定量的に表現することに成功した。
さらに,ニューヨーク州立大学のJin Wang教授と協力し,コアネットワークの確率シミュレーションの結果から見通しのよい統計量を抽出し,その物理法則を議論するための有力な方法論を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子ネットワークの確率シミュレーションを行うことにより、遺伝子スイッチ過程における時間スケールの違いが現象を説明する鍵となることを示し、遺伝子ネットワーク理論に進展をもたらした。また、エピジェネティックランドスケープを定量的に計算することに成功し、実験データの解釈や実験の設計のために理論の果たす役割を拡大させた。

今後の研究の推進方策

24年度までに構築された遺伝子ネットワークモデルと理論的方法を用い、さらにES細胞の多彩な振る舞いの研究を行う。とくに、遺伝子発現量を制御したときに揺らぎの大きさや性格が変る可能性を分析する。また、24年度までに考えた以外の分化系譜を記述するために、モデルの拡張を試す。
また、Jin Wang教授との共同研究を発展させ、遺伝子スイッチの統計力学理論を複数スイッチからなるES細胞ネットワークに適用する。

次年度の研究費の使用計画

24年度に予定していた研究成果の論文出版(現在、投稿中)が25年度に延期されたため、論文出版費用として当初見込んでいた費用は、25年度に繰り越して使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Non-Brownian dynamics and strategy of amoeboid cell locomotion2012

    • 著者名/発表者名
      S. I. Nishimura, M. Ueda, and M. Sasai
    • 雑誌名

      Phys. Rev. E

      巻: 85 ページ: 041909_1-8

    • DOI

      10.1103/PhysRevE.85.041909

    • 査読あり
  • [学会発表] Heterogeneous dynamics and fluctuations in biomolecular networks2012

    • 著者名/発表者名
      M. Sasai
    • 学会等名
      RIKEN Quantitative Biology Center Inaugural Symposium "Towards Whole-Cell Modeling"
    • 発表場所
      Kobe
    • 年月日
      20121105-20121107
    • 招待講演
  • [学会発表] Revisiting the consistency principle of protein conformational change2012

    • 著者名/発表者名
      M. Sasai
    • 学会等名
      12th KIAS Conference on Protein Structure and Function
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      20121011-20121013
    • 招待講演
  • [学会発表] Slow dynamics of chromatins and non-adiabatic gene switches2012

    • 著者名/発表者名
      M. Sasai
    • 学会等名
      Characterizing Landscapes: From Biomolecules to Cellular Networks
    • 発表場所
      Telluride, Colorado
    • 年月日
      20120611-20120615
    • 招待講演
  • [図書] 生体分子のつくるシステム 「ゲノム系計算科学(計算科学講座第7巻)」2013

    • 著者名/発表者名
      笹井理生、寺田智樹
    • 総ページ数
      27
    • 出版者
      共立出版

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公開日: 2014-07-24  

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