今後の研究の推進方策 |
今後は次の点を中心に研究を進めていく。1) PDMS/PEMSブレンド系における臨界現象を動的・静的光散乱により調べ、その相図、臨界挙動を明にする。その後、この系でのカシミール効果の検出に向けて、超薄膜の作製し、さらには電気容量測定を行う。2) PVAc/PMMAブレンド系に対して、異種積層薄膜を作製し、その誘電特性を調べる。この測定を通して、これらの高分子の界面での相互作用と誘電ダイナミクスとの関係を明らかとする。3) 上記を踏まえた上で、ガラス転移が起こりうるシステムでは,高温の液体状態で存在している α 過程の特性時間ταがガラス転移温度に近づくとともに VFT 則 τα(T )= τ0 exp(U/(T - T0 )) に従って,発散的に増大することが知られている.特性時間と空間相関長の関係については,様々な理論的な予測がある.P.G. de Gennes & M.E. Fischer の理論より予測される臨界カシミール力の大きさと 2 枚の極板間隔の関係,および揺らぎの相関長とカシミール力の関係から判断し,測定可能な極板間隔,膜厚を予測する.4) 以上をもとにして,様々な条件下での高分子1成分系のガラス転移点近傍での臨界カシミール力の存在の有無を実験的に明らかにする.さらに,得られたデータを解析し,総合的に判断することにより,ガラス転移の特性長と臨界カシミール力との関係を明確にする.
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