研究課題/領域番号 |
23654156
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
船守 展正 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70306851)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 超高圧 / 小角X線散乱 / 放射光 |
研究概要 |
2年計画の初年度にあたる平成23年度は、高圧下その場小角X線散乱測定のための技術開発に取り組んだ。試作した装置の試験は、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設のBL-18Cステーションにおいて、放射光共同利用実験として実施された。BL-18Cは、ダイヤモンドアンビル装置を用いた高圧下その場X線回折測定のためのステーションであり、小角X線散乱測定を行うために、(1)カメラ長を伸ばす、(2) ダブルコリメータ方式によりコリメータからの寄生散乱の影響を低減させる、(3) 試料と検出器の間をヘリウム置換することで空気散乱の影響を低減させる、(4) 中心に小径の穴のあいたイメージングプレートを検出器として用いることでダイレクトビームの影響を低減させる、などを実施した。これらにより、10keVのX線により、0.1~2.0nm-1のQ領域の散乱X線の測定が、ダイヤモンドアンビル装置中のφ100μm程度の試料に対して、15分程度の露光時間で可能になっている。これまでに、グラッシーカーボンなど、小角X線散乱実験の標準試料として広く用いられる数種類の物質について試験的な測定を行い、装置としては、計画通りの性能が確認されている。現在、通常のX線回折測定のセッティングから小角X線散乱測定のセッティングへの切り替えに約6時間、その逆に約3時間を要している。これを短時間化するとともに、今後は、実際に高圧下の試料に対する測定を行うことに重点を移す計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、高圧下その場小角X線散乱測定のための技術開発を行い、数nm~数百nmのスケールの構造の変化から地球深部物質の相転移に関する新しい知見を得ることを目的としている。2年計画の1年目で、技術開発の基本的な部分は完了しており、ほぼ計画通りに進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、X線回折と小角X線散乱を切り替えて測定を実施している。切り替えに要する時間の短縮、あるいは同時測定が可能なように装置を改良したい。また、本研究は2年計画であり、2年目にあたる平成24年度には、目的として掲げる地球深部物質の相転移に関する研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の大部分は、X線回折と小角X線散乱の切り替えの短時間化など、装置の改良のために使用する。また、実験データを大量に取得する予定であるので、データの整理や解析のための謝金としても使用する。研究成果の公開(学会発表や論文出版)のための旅費などにも使用する。
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