研究課題
2年計画の最終年度にあたる平成24年度は、前年度までに立ち上げた高圧下その場小角X線散乱測定のための装置を用いて、各種の非晶質SiO2に対して高圧下における測定を実施した。シリカガラスとフュームドシリカに対する測定を50万気圧領域まで実施したところ、どちらの試料にも最高圧力まで小角領域に有意な散乱が観察された。これは、粒内と粒界の密度差が50万気圧領域においても完全には無くならないことを示唆しており、大変興味深い。また、メソポーラスシリカに対する測定を20GPa領域まで実施したところ、アルコール圧力媒体中で加圧した場合に、高圧下で空孔サイズが大きくなることを示す結果を得た。高圧下では空孔サイズは小さくなるのが一般的であり、それと全く相反する結果が得られた。圧力媒体が空孔内に侵入して試料と化学的反応を起こした可能性が推察される。これまで、ゼオライトなどの多孔性の結晶では、X線回折法によって、同様の現象が結晶格子の膨張として観察されることが報告されてきた。しかし、高圧下で非晶質化した場合など、空間スケールの大きな空孔に関する情報をX線回折法で得ることは容易ではない。本研究で開発した高圧下その場小角X線散乱法の測定は、今後、多孔性の物質の高圧下での振る舞いの解明などに大いに活用されるものと期待される。なお、全ての測定は、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設のBL-18Cステーションにおいて、放射光共同利用実験として実施された。現在、研究成果を論文にまとめるための準備を進めている。
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