研究課題/領域番号 |
23654157
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横尾 亮彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70420403)
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研究分担者 |
鈴木 雄治郎 東京大学, 地震研究所, 助教 (30392939)
井口 正人 京都大学, 防災研究所, 准教授 (60144391)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 空振 / 噴火 / 桜島 / 火山 / 噴煙 |
研究概要 |
2011 年7 月末から12 月にかけての半年弱、桜島において5 台の低周波マイクロホンを使用した空振アレイ観測を実施した。2011 年12 月の数日間は、さらに4 台の同型マイクロホンを使用した追加観測も行った。観測点配列は50~100 m 間隔で火口方向に直線状とし、追加観測時には、全体として十字型アレイになるよう、これに直行する方向に80~100 m 間隔でマイクロホンを配置した。噴煙挙動そのものの解析のため、7月の観測時には、現地にて可視・熱赤外映像観測も併せて実施した。一方、火山噴煙3次元数値計算を東京大学EIC計算機システム、海洋研究開発機構の地球シミュレータを用いて実施し、種々の初期条件、境界条件に対する噴煙挙動について検討した。空振アレイ観測の結果、噴煙放出そのものに伴う微弱な空振は、0.8Hzあたりにピークを持つことが明らかになった。一方、これまで噴煙挙動と関係すると考えていた、卓越周波数1~2Hzのシグナルは、火口底下の通路ないしは地形内を、噴煙や火山ガスなどの希薄流体が通過することで形成されると考えられる。また、取得した噴火映像記録を用いて、噴煙の局所構造(渦輪)を利用した噴出速度推定法を提案するに至り、昭和火口におけるブルカノ式噴火の噴出速度を40~60 m/sと見積もった。噴煙数値計算コードの改良によって、小規模ブルカノ式噴火に対応した数値計算が行えるようになったほか、噴煙の上昇や崩壊過程などに対する火口地形や周囲風環境らが与える影響についても、定量的に明らかにすることができた。以上の研究成果により、より現実を反映した初期・境界条件下で、噴煙挙動を数値的に模擬することが可能になり、火山噴煙の噴出、拡大、上昇過程に伴う空気振動放射過程の詳細を定量的に理解するための下地ができたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空振アレイ観測の結果、噴煙放出そのものに伴う微弱な空振の周波数特性が明らかになった。また、取得した噴火映像記録を用いて、噴煙の局所構造(渦輪)を利用した噴出速度推定法を提案することもできた。噴煙数値計算コードの改良によって、小規模ブルカノ式噴火に対応した数値計算が行えるようになったほか、噴煙の上昇や崩壊過程などに対する火口地形や周囲風環境らが与える影響についても、定量的に明らかにすることができた。以上の研究成果により、より現実を反映した初期・境界条件下で、噴煙挙動を数値的に模擬することが可能になり、火山噴煙の噴出、拡大、上昇過程に伴う空気振動放射過程の詳細を定量的に理解するための下地ができたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って粛々と実施していく。特に、これまでの数値計算よりも、より現実を反映した初期・境界条件下で、噴煙挙動を模擬することが可能になったことは大きな意義があり、火山噴煙の噴出、拡大、上昇過程に伴う空気振動放射過程の詳細を定量的に理解することにつなげる。そして、空気振動観測から噴煙の噴出条件を推定する方法へと昇華させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、火山噴煙に伴う空気振動現象の観測研究、および、噴煙数値計算の実施に伴う諸経費に使用する。また、研究経過・成果は、機会あるごとに積極的に国内外の学会・研究集会などで発表し、最終的には国際学術誌に論文を公表する。そのための経費も必要となる。なお、パラメータスタディに先立つ予備計算を実施したところ,桜島観測データと比較するための音波周波数特性に新たな可能性が見出されたことから、より詳細な予備計算による調査を実施する必要が生じた。そのため、計算機使用料に充当する予定であった研究費の一部を次年度に繰り越した。
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