研究課題/領域番号 |
23654161
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐伯 和人 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50292363)
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研究分担者 |
金子 克哉 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 助教 (40335229)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 火山 / UGV / UAV / 携帯電話 / 伊豆大島 / 無人観測 / ロボット |
研究概要 |
活発に活動する火山に観測機器を投入する際に、その成果を左右する最大の課題は、観測機器との通信の確保である。本研究の目的は、誰でも安価で手軽に使える 火山観測用データ通信コアシステムを開発することである。 iPhone端末を使用する試みでは、iPhoneをサーバ化してインターネット経由でiPhoneに命令を送信したり、iPhoneから情報を発信することができるソフトウェアを開発した。また、iPhoneとワンボードマイコンを接続する音声モデムを作成し、iPhoneからサーボモータを駆動できる装置を作成した。以上によりiPhoneでロボットを遠隔操作するシステムの基本形が完成した。システム試験用の簡易なロボット車「Land-1」を作成し、伊豆大島にて火山地形でロボットを遠隔操作する実証試験を行い、基本的な移動操作ができることを確認した。 一方、FOMA携帯端末を使用する試みでは、携帯電話を用いて音声通話に使用する無線帯域を用いたデータ転送システムの開発を、FOMAの携帯端末、および、既に製品化されている音声信号・デジタル信号変換モデム(suntechEU-MPM2)を用いて行った。また、基地局となる一般のパーソナルコンピュータと、火山を観測する移動ロボットである「ほむら」との間で、双方向のデータ通信を行うことのできるシステムを製作した。さらに、予備的な試験として、大学構内にて、このシステムを搭載して、基地局PCとほむらとの間の通信試験を行った。その結果、データの双方向通信が確立し、基地局からのほむらの操縦、およびほむらからの観測データの基地局における取得が可能であることを確認した。一方で、現段階において、通信におけるタイムラグが1秒程度あり、リアルタイムの操縦がスムーズにいかない問題が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPhone端末を利用したシステムの方は、基本的なシステムを完成させ、伊豆大島での実証試験を行うことができた。FOMA端末を用いたシステムの方は、通信システムの確立まで達成した。また、火山フィールドにおける試験は行わなかったが、野外における試験を行い、その有効性と今後の改良点を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
iPhoneでロボットを遠隔操作するシステムの基本形が完成し、システム試験用の簡易なロボット車「Land-1」で基本的な移動操作ができることを確認できたので、今後は予定通り、自律制御の開発を進めるとともに、画像伝送やセンサの付加など、現地情報の取得に重点をおいて開発する予定である。FOMA端末では、基地局からロボット車「ほむら」の操縦、および「ほむら」からの観測データの基地局における取得が可能であることを確認できたが、現段階において、通信におけるタイムラグが1秒程度あり、リアルタイムの操縦がスムーズにいかない問題が明らかになった。この通信のタイムラグを軽減し、リアルタイムの通信能力を向上させるように、通信システムの改良を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
2011年度の実験で、FOMAを用いたロボット制御システムで、通信のわずかなタイムラグが気になった。このため、システムの一部の設計を改良する必要を認めたので、現段階のシステムを完成させる予算を少し残し、改良設計が固まる2012年度前半にこの残した予算を使って、信号処理負荷を軽減してリアルタイムの通信能力を向上させるように、システムを改良したいと考えている。その他は、当初の予定通り、無人観測機プラットフォームに開発した通信システムを搭載しての実証試験に研究費を投入する。
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