研究課題/領域番号 |
23654163
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (20250508)
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研究分担者 |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (30185251)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 海氷 / 係留観測 / 超音波ドップラー流速計 |
研究概要 |
2009年8月から2010年7月までの1年間に渡って、アラスカ州北部バロー沿岸沖のチャクチ海で取得した超音波氷厚計による海氷データの処理を進め、海氷厚を算出した。算出された海氷厚については、精度を向上させるための更なる処理が必要であるが、超音波ドップラー流速計と水圧計のデータから導出される独立した海氷厚の見積りとの比較準備がほぼ整った。 2011年7-8月にはアラスカ州バローに出向き、前年に設置した2つの係留系の回収を行うと共に、更なるデータの取得を行うために、再度2つの係留系の設置を実施した。更に、この際に回収したデータについても、前年に回収したデータと同様に、処理を進めた。 また、2009-10年に取得した海洋データに基づいて、この海域における定着氷の流出に及ぼす海洋の影響について議論した結果を論文に盛り込んだ(Petrich, Hicken, Zhang, Krieger, Fukamachi, and Ohshima, 2012)。更に、2年間の観測で得られた海洋の流速および水温・塩分のデータをまとめて、アメリカ地球物理学連合の秋季大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年夏に回収した2つの係留系については、その1つの系に取り付けていた超音波氷厚計のデータが浸水のために取得出来ないというトラブルがあった。しかしながら、それ以外の測器では良好なデータが取得出来ており、それらのデータの処理がほぼ順調に進んでいる。また、2011年夏の係留系の再設置も予定通りに実施することが出来た。 その他では、共著ながら、国際誌への論文の掲載と国際学会での発表も実施することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
超音波氷厚計データによる海氷厚の精度を高めると共に、超音波ドップラー流速計と水圧計のデータからも独立した海氷厚のデータを導出し、これらの値を比較することによって、後者の手法がどの程度の精度の海氷厚データを取得することが出来るかを明らかにする。更に、その成果発表を学会において行い、最終的には国際誌に論文を投稿する。 また、2012年夏には、アラスカ州バローに再度出向いての係留系の回収および再設置を、2013年夏には回収のみを予定している。 なお、当該研究費の今年度未使用額については、研究の進捗状況を見極めながら予算執行を行ったために79,270円の未使用額が発生したが、データのバックアップや資料の整理を行うための消耗品を3月中に購入し、この額については既に使用済である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の交付申請書には、今年度の観測に必要な水圧水温計の購入を計上していたが、これについては他の予算で昨年度に購入することが出来た。よって、そのために予定していた費用については、国内旅費、データ処理のための謝金、観測機材運搬費、水圧水温計のキャリブレーション等に充てる予定である。 なお、アラスカ州への海外旅費については予定通りに支出予定である。
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