2013年度には,次の2つの研究活動を行った. <研究活動1> 2012年度に,測定原理の異なる衝突型雨量計と光学雨量計用いて発達した積乱雲に伴う10秒雨量の連続観測を行い,2つの測器で観測されたデータにおいて,1-2分周期変動が卓越していることを明らかにした.2013年度には,複数の事例について,より詳細な解析を行った.気象庁レーダーから求められた積乱雲の移動を調べると,1-2分の間に積乱雲は約1km移動するため,積乱雲内部には水平スケール1kmの微細構造(降水コアー)が存在すると考えられた.現在,この10秒雨量観測の結果を論文にまとめており,2014年5月中には学術雑誌に投稿する. <研究活動2> 2012年度の観測において,25cmと50cm間隔で並べた3台の衝突型雨量計では,10秒雨量の極大を示す時間が約50%の事例において一致せず,降水コアーは非常に不均一であることが示唆された.2013年度には,10秒雨量観測と同時に,雨が地面に当たる様子(雨紋分布)を2種類のカメラ(タイムラプスカメラと一眼レフカメラ)で 1秒毎に連続撮影を行い,降水コアーの内部に数10cmスケールの不均一が存在するか確認する観測を計画した.強雨は夜間に発生しやすいため,強雨時に照明が自動点灯する装置を作成し,自動撮影を試みた.しかし,試行錯誤を繰り返したが,カメラレンズへの雨の跳ね返りの影響もあり,解析に耐えられる雨紋分布は得られず,降水コアーの内部に数10cmスケールで不均一が存在するか否かについては結論を出せなかった.
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