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2012 年度 実施状況報告書

環境放射線スペクトルの現場測定による堆積環境のフィールドマッピングへの挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 23654171
研究機関名古屋大学

研究代表者

竹内 誠  名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80273217)

キーワードγ線 / ジルコン / モナザイト / 堆積作用 / 後背地解析
研究概要

濃尾平野の矢作川、揖斐川の河川堆積物のγ線スペクトルを測定し、後背地の岩石と細説物組成の関係について検討した。
まず、スペクトル強度の測定方法の検討を行った。測定場所、測定時間、測定回数などによる誤差の大きさを検討し、簡便性と数値の有効性を加味し、適切な測定方法と測定条件を決定した。その結果、Uのγ線スペクトルはこの流域堆積物では誤差が大きく、1時間程度の測定が必要になり簡便性という点では条件に合わないことがわかった。KとThについては15分程度の測定で、十分な解像度が得られることがわかった。またγ線検知装置の地表からの位置を変化させて測定した結果、地表から40cm程度でスペクトル強度が一定になった。このことから、堆積物中のγ線はほぼ半径40cmの範囲の物質からのものをカウントしていることが判明し、地層内での解像度は40cm程度であるといえる。
矢作川の数地点で、現世河川堆積物のγ線スペクトルを測定し、またその現岩となる岩石のγ線スペクトルを測定し、水系内の岩石種の分布面積とそのスペクトル強度から堆積物測定地点での期待値を求め、測定値と比較検討した。その結果、花崗岩を主として起源とする堆積物ではほぼ期待値と測定値が一致したが、変成岩を主として起源とする堆積物では、Thの期待値に対して測定値が低くなった。このことはThを含むモナザイトやジルコン粒子の源岩中での粒径に関係していると推定され、変成岩中ではもともと小さい粒径のものが多く、運搬/堆積作用によって、運び去られてしまったためと考えた。
このように堆積学的な検討を行い、砕屑物組成形成時の堆積学的作用の影響が少しずつ明らかになってきた。今後、古期岩類の後背地解析に応用する際に注意すべき条件を見いだしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2011年の東北大震災の影響で、初年度に測定器の調達に時間がかかり、初年度はほとんど研究の進捗がなかった。そのため、全体計画が遅れる事態になった。

今後の研究の推進方策

現世河川堆積物を対象とした堆積学的研究を継続し、堆積・運搬作用時の対象鉱物粒子の挙動についてさらに詳細なデータを取得し、後背地解析に向けた問題点を見いだす。特に源岩中の対象鉱物の粒径の相違が細説物中の含有率にどのような影響を与えているかを検証する。そのため、砕屑岩中の観察に加えて、源岩の分布の詳細な調査と岩石学的検討を行う。
これまでの、手法開発および堆積学的成果について学会発表を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

初年度に生じた遅れによる予算残高がそのまま、2年目にも残高となっている。次年度は最終年度でもあるので、野外調査や実験のスピードを上げて、当初の予定を達成したいと考えている。

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公開日: 2014-07-24  

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