研究課題/領域番号 |
23654179
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
北里 洋 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 領域長 (00115445)
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研究分担者 |
窪川 かおる 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任教授 (30240740)
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キーワード | 海生生物 / 化石DNA / 進化 / DNA解析 / Bioinformatics |
研究概要 |
嫌気的な海成堆積物中に化石化したDNA断片がわずかに保存される可能性がある。原核生物は生きたままで海底下数百mに発見されるなど,DNA解析による地下生命圏の研究が進められているが,真核生物は掘削時とその後のコンタミネーションおよびDNAの多様さと長大さから,アプローチがなされていない。本研究は,コンタミネーションフリーの深海掘削コア中から採取したDNA抽出物を用いて真核生物の化石DNAを採取することを目的とする.深海掘削コアは30層に分け,それぞれの層にDNA抽出法を施し,DNAの定量・定性を実施した。 平成23年度は,海洋に広く分布する浮遊生物である珪藻類を中心としたDNA断片をターゲットとし,ユニバーサルプライマーを多数設計してPCR増幅の結果を検証したが,良好なPCR増幅が得られなかった。そこで,平成24年度は海産に限らず無脊椎動物の多くに共通する短いリボソーマルDNA配列に着目し,多数のプライマーを設計してPCR増幅を行った結果,数種のプライマーで増幅が見られ,プライマーを決定することができた。さらに約45万年前の化石DNAの採取に成功した。そこで,配列解読の前に,さらに本研究を古海洋の研究と繋げることを目指した。すなわち,化石として残った殻を地質年代の測定に使われている有孔虫の化石DNAをターゲットとした。現生の有孔虫の既知配列をもとにして,プライマーを設計し,PCR増幅した結果,良好な増幅が得られた。その結果をもとにして,より精度の高いプライマー設計とPCR産物の採取,および残された配列解析のため,平成25年度に本研究を期間延長した。 最終年度となる平成25年度は,次世代シーケンサーによる配列解析を実施し,DNA解読および現生生物との遺伝子検索を行い,海底下の真核生物の化石DNA研究の可能性を示す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プライマー設計は本研究の要であるDNA断片の実際の存在を再現できるかを左右する重要な実験である。この設計に良好な結果が得られ,次の作業は確立された方法によるDNA配列解読だけとなった。 これらのことから研究は順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
実験補助者を雇用し,DNA抽出とPCR増幅を行う.次世代シーケンサーによる塩基配列解読は,中国の会社の受託で十分な品質が得られることがわかったので,研究期間中に委託し,成果を論文にして公表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験補助者のための謝金,実験用消耗品費,次世代シーケンサー解析費に使用する.高額設備の購入,旅費の使用はない.
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