研究概要 |
アモルファス炭酸カルシウムやモノハイドロカルサイトのような含水カルシウム炭酸塩は生体鉱物や環境指標物質として重要である。一方これらの鉱物は準安定相であり、速やかに無水炭酸塩鉱物に変質する短命な種であることが知られている。これら含水カルシウム炭酸塩の生成条件や安定性を理解するためには、その生成過程や変質過程を高い時間解像度でその場観察することが望ましい。本年度はCa++,Mg++,CO3--溶液からの炭酸塩鉱物生成および変質過程をその場赤外分光観察により高い時間解像度で観察した。 実験は様々なCa:Mg比の水溶液にCO3--(濃度はCa濃度とMg濃度の和に相当)を添加した瞬間から、溶液を減衰全反射結晶上に流通・循環させ、30秒もしくは3分の時間解像度で赤外スペクトルを採取した。その結果低いMg比(<20%)では速やかに無水カルシウム炭酸塩が生成するが、高いMg比に溶液からは反応初期にアモルファス炭酸カルシウムが生成し、そのあとモノハイドロカルサイトに変質することが見いだされた。アモルファス炭酸カルシウムが維持される時間および、モノハイドロカルサイトへの変質時間はMg濃度の増加とともに遅くなることが見いだされた。
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