研究概要 |
本年度は以下の2点について重点的に検討した。(1)グラファイトのマイクロスケール炭素同位体測定方法の確立:ハワイ大学のSIMSを用いてぐらいファイトのマイクロスケールの同位体測定方法を確立するべく,スタンダード試料の選択、同位体組成分析時の誤差について検討した。スタンダードとしては、2種類の異なる形態のものを検討した。1つはNIST8541と呼ばれる粉末試料で,エポキシ中にプレスした状態のものを使用した。もう1つは,変成岩中の炭素粒子(Satish-Kumar et al., 2011, Contributions to Mineralogy and Petrology, 162, 821-834)を使用した。結果,いずれの試料を用いた時でも,測定条件は大きく変わらず,また試料間では大きな同位体分別が無い事がわかった。(2)測定試料の選定と準備:『沈み込み帯試料』の中から,測定に用いるための試料の準備と選定を行った。試料は,(a)沈み込み帯マントルウエッジに相当する捕獲岩であるスペインTallante火山岩中の試料(b)新潟県糸魚川産のグラファイトを含むひすい輝岩,(c)接触変成岩中の高温部から低温部(Aoya et al., 2010, Journal of Metamorphic Geology, doi:10.111/j.1525-1314.2010.00896.x), (d)温度圧力履歴が詳細に検討されている三波川変成帯中の泥質変成岩類(Inui, 10, Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 105, 274-279)について準備をして検討した。その結果,それぞれの試料中に測定可能なグラファイト粒子が含まれていることを確認できた。
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