研究課題/領域番号 |
23654187
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川本 竜彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00303800)
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研究分担者 |
三部 賢治 東京大学, 地震研究所, 助教 (10372426)
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キーワード | マグマ / 水流体 / 超臨界流体 / 沈み込み帯 / マントルウェッジ / 元素分配 / 高温高圧実験 / 放射光X線 |
研究概要 |
下記の実験を行った。大型放射光実験設備SPring-8のBL04B1に設置されている川井型マルチアンビル高温高圧発生装置SPEED1500を使用し、蛍光X線を測定した。元素は入射X線の強度特性と検出器とのマッチングにより最適化されているエネルギー領域にある、Cs、Ba、希土類元素などを狙った。スペクトルの採取時間は50分で、メルトと流体部分を交互に測定した。 高Mg安山岩と水または塩水を用いて、1万気圧、1.5万気圧、2万気圧、2.2万気圧で行った。X線は連続X線と微量成分元素の特性X線からなるが、その連続X線の強度はマグマの方が水流体よりも常に高い。しかし、圧力が1万気圧から2.2万気圧に変化する間に、その差は徐々に小さくなって行く。このことは、圧力があがるにつれて、水流体に溶け込むマグマ成分が増加していることを示している。 純水を用いた実験では、1万気圧ではドープした微量成分は、Cs以外、ほぼすべてマグマに分配される。2万気圧、2.2万気圧では、Csに加え少量のBaが流体にすこしだけ分配される。2.2万気圧ではLaが水流体にすこしだけ分配される。一方、塩水を用いた実験では、1万気圧で、すでにCsとBaが水流体に分配される。2万気圧、2.2万気圧でLaがこれに少量加わる。 マグマと塩水流体が分離する時、アルカリ元素(Cs)と2価の元素(Ba)の一部と3価の元素(La)のごく一部は塩水流体に分配され、2価の元素の多くと3価の元素のほとんどはマグマに分配される。島孤の火山岩の微量成分元素の特徴を説明するには、スラブ流体は塩水であると考えた方が良い。本実験によって、圧力と塩濃度が与えるこれらの微量成分元素のマグマと水流体の間の元素分配を理解することができつつある。これらの実験結果が沈み込み帯での元素移動やマグマの生成に与える意味を考え、論文を公刊したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調である。マルチアンビルを用いた実験で、アルカリ元素、アルカリ土類元素、希土類元素のマグマと水流体の間の元素分配を理解することができたのは、大きな進展である。しかし、ダイアモンドアンビルセルを用いて、より精度の高い実験を行いたいが、技術的な問題があり進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り進めて行きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
フランスの放射光実験設備での実験を計画している。このため、旅費を多く配分したい。
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