| 研究課題/領域番号 |
23654191
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
橋爪 光 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90252577)
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| キーワード | 隕石 / 有機物 / 同位体イメージング / 酸素 / 硫黄 |
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| 研究概要 |
本研究では、地球の表層環境を特徴づける海洋・大気・生命を形成するための基本材料物質の起源を論じる。隕石有機物は、現在我々が手にすることが出来る惑星物質の中で、最も始原的な低温凝縮物である。近年、隕石有機物中から、C,H,O,Nの同位体組成が極端に異常な、ミクロン～サブミクロンサイズの有機物微粒子が続々と発見されつつある。私は酸素同位体異常を持つ有機物の発見を2011年にNature Geoscience誌にて報じた。本研究では、この成果に続き、天体内での水質変成の有機物に及ぼす影響（水－有機物相互作用）の評価、および、有機物を構成するあと一つの主要元素である硫黄の同位体組成を解読する作業を並行して進めている。本年度、第1の目標である、水質変成の有機物に及ぼす影響を評価するために、同じ隕石グループ中で、水質変成度の異なる隕石を用い、同位体イメージングを進める予定であった。今回、有機物を抽出するのに新しい手法、フッ酸を用いて隕石中のケイ酸塩を全て溶解させ有機物を抽出する代わりに、フッ化セシウムを用いて抽出する新手法を導入した。この手法を用いると、有機物中でフッ化炭素の生成が抑えられるという大きな利点がある。しかし、実際に行ったところ、化学処理の過程で難溶性のケイ酸塩フッ化物が生成され、有機物の一部がそこに封じ込められてしまうという現象が見られ、作業が大変難航し、同位体イメージングを行うまで作業が進められなかった。第2の目標である、有機物の硫黄同位体イメージングの研究では進展が見られ、有意な硫黄同位体異常を部分的に確認することができた。CR2隕石Y793485から抽出された有機物中約2ミクロン大の範囲において33S/32S及び34S/32Sでそれぞれ3.4%及び4.4%という、従来には見られなかった大きな同位体異常を有意に観測することが出来た。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有機物の硫黄同位体イメージングの研究では進展が見られ、有意な硫黄同位体異常を部分的に確認することができた。CR2隕石Y793485から抽出された有機物中約2ミクロン大の範囲において33S/32S及び34S/32Sでそれぞれ3.4%及び4.4%という、従来隕石中には見られなかった大きな同位体異常を有意に観測することが出来た。
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| 今後の研究の推進方策 |
天体内での水質変成の有機物に及ぼす影響（水－有機物相互作用）の評価、および、有機物を構成するあと一つの主要元素である硫黄の同位体組成を解読する作業を並行して進める。特に、24年度において難航した、新しい有機物抽出方法であるフッ化セシウムを用いた処理方法の改良を進める。フッ化セシウム処理を行う前に炭酸塩などの酸可溶物質を完全に除去する前処理を入念に進めることにより困難を克服できる可能性があるので、その作業をまず進める。
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| 次年度の研究費の使用計画 |
隕石有機物の同位体イメージング分析を進めるが、その準備段階である、試料準備・化学処理及び電子顕微鏡分析を入念に進める。その各段階で必要な物品購入、また必要な旅費のために研究費を用いる。また、同位体イメージングの際に必要な標準物質の改良を進めるため、標準物質候補を入手し、化学・同位体分析を、自らあるいは依頼して行うための経費をまかなう。成果を広く発表するための国際会議参加旅費ならびに論文掲載費用を本研究費から支出する予定である。
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