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2012 年度 実施状況報告書

ミズゴケの貯水細胞水を化石水に用いる新古気候指標の提案

研究課題

研究課題/領域番号 23654193
研究機関九州大学

研究代表者

赤木 右  九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80184076)

キーワードミズゴケ / 保持水 / 酸素・水素同位体比 / 気候情報
研究概要

過去一万年以上にわたり堆積し、世界の中・高緯度地域で度々泥炭層を形成するミズゴケは、枝葉表面、その枝葉中の透明細胞、茎のレトルト細胞等に水分子を強く保持し、ミズゴケの重量の20倍以上の水を保持できることが知られている(坂口、1989)。ミズゴケの堆積層を構成する高層湿原の水は天水より供給されるため、もしもミズゴケが一万年間にわたって水を保持し続けるならば、その水の酸素・水素同位体比から生育時の気温および乾湿度を読み取ることができる。申請研究は、以上のことをミズゴケ保持水に世界で初めて応用する。
泥炭層中のミズゴケ保持水と滞留水の酸素および水素同位体組成を比較 ミズゴケ貯留水を、ミズゴケへの保持の程度により、搾取により抽出される水(SQW)、その後蒸留によって抽出される水(DW)の大きく2画分に分け、さらにその場に供給される天水について、水素および酸素の同位体比を測定したところ、特徴的な濃度プロファイルが得られ、さらにDWとSQWの間に同位体比の大きな変化が認められた。
トリチウムがSQWだけでなくDWについても50 cmの層より認められることが明らかになり、化石水の可能性は否定されることになった。これを受け、研究の焦点を各画分中の水素酸素同位体比の変化のメカニズムの解明に移した。搾取水の拡散、移流などの挙動についてモデル化を行った。その中で特に顕著に見られたのはSQWの水素同位体比の変動で、詳細な議論の結果、水の凍結頻度の影響が保存されていることが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初はミズゴケ保持水の中で化石水の検索を目標にしていた。残念ながら、トリチウムの結果により、化石水の可能性は否定された。これを受け、研究の焦点を各画分中の水素酸素同位体比の変化のメカニズムの解明に移した。その中で、学問的に興味深い分別現象を発見し、異なる観点で気候変動の解析に利用できる道が見えてきている。

今後の研究の推進方策

既に核となるデータはほとんど得られている。
本研究で得られた成果は学問的には新しいものを含んでいるため、成果の発信に最大のエネルギーを注ぎたい。

次年度の研究費の使用計画

データ解析のための必要な機器の購入と学会の参加のための旅費に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Geometric Series-Steady State (GSSS) Model: A New Protocol for Interpreting Compound-Specific Δ14C Data2012

    • 著者名/発表者名
      Tasuku Akagi
    • 雑誌名

      Mathematical Geosciences

      巻: 44 ページ: 843-861

    • DOI

      10.1007/s11004-012-9415-4

    • 査読あり
  • [学会発表] ミズゴケに保持された水の同位体的特徴 ー搾取水の同位体比変化をもたらす水循環ー2012

    • 著者名/発表者名
      大木 誠吾、陣野 宏宙、赤木 右、Lars Franzen
    • 学会等名
      2012年度日本地球化学会第59回年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      20120910-20120913

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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