研究課題
放射性同位体40Kの娘核種である40Arを用いた局所K-Ar年代測定法を確立し、隕石衝撃変成年代を測定することが本研究の目標である。そのためには、パルスNd:YAGレーザーをもちいて隕石試料薄片の局所(直径数十ミクロン)から希ガスを抽出する必要があるが、抽出されるガス量はきわめて微量であり、装置に起因するバックグラウンドガスが無視できないことが予想される。このため、レーザーガス抽出専用の真空ラインの設計・開発を行った。これに加え、既存の真空ラインも改良を加え、質量分析装置全体としての低バックグラウンド化を行った。イオン源の低バックグラウンド化のため、イオン源に使用されているステンレス部をタンタルあるいはモリブデンで置き換えることを予定している。そのため、既存のイオン源の採寸を行った。次年度において新たなイオン源を製作し、テストする予定である。パルスレーザー照射の際に発生するプリューム光の分光によって試料中カリウム濃度測定を行うことを目標としているが、そのために必用な紫外・可視域用の分光器および冷却CCD検出器を選定した。選定基準として、目的波長領域において高感度であること、パルスレーザーと同期して分光測定が行えることとした。選定・購入した分光装置を用いて、地球岩石試料(アンデサイト)薄片に大気中にてパルスレーザー照射した際に発生したプリューム光の分光テストを行い、先行研究と同等のスペクトルを取得することに成功した。また、局所領域のレーザー照射・分光を可能にすべく、専用の光学系も設計中である。次年度は真空中においた試料での分光テストを地球および隕石試料に対して行っていき、実際の試料の年代測定を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
希ガス分析装置の開発はほぼ予定通りに進んでいる。一方、局所領域へのレーザー照射・分光のための光学設計も進めている。ダイクロイックミラーの設計において適当なコーティング選定に多少時間がかかっているが、研究計画を大きく遅らせるようなことは無い。LIBSのテスト分析も予想より良い成果が得られたので、設計した装置の制作・組立が終われば、次年度も研究計画通りに進むと思われる。
今年度設計・作成した真空装置の実用に向けた試験を行う。また、カリウム定量のための分光装置測定条件の最適化、プリューム発生条件の検討・試験などを行っていく。数%のカリウムを含む鉱物が存在する地球および隕石試料の薄片を作成し、局所K-Ar年代測定をおこなう。
希ガス質量分析および分光用光学系に必要な消耗品を購入。隕石試料の購入。研究成果発表に伴う旅費。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (13件)
Science
巻: 333 ページ: 1119-1121
巻: 333 ページ: 1128-1131
巻: 333 ページ: 1113-1116
巻: 333 ページ: 1121-1125
巻: 333 ページ: 1125-1128
巻: 333 ページ: 1116-1119
Geochemical Journal
巻: 333 ページ: 61-72