研究課題
昨年度に引き続き、希ガス分析装置の開発・製作を行った。レーザー照射および分光のための光学設計・作成が終了し、テスト試料をもちいたレーザーアブレーションによる発光分光に成功した。本研究で作成したレーザー照射・分光光学系は、Nd:YAGパルスレーザーの基本波(1064nm)を試料表面に導入しつつ、同一光路上に分光光学系を置くというこれまでに存在しない新しい光学系である。この光学系は、1)薄片試料観察が容易、2)任意の局所領域にレーザーアブレーションが可能、3)分光用光学的に明るい(元素定量分光感度が高い)、という優れた点を持つ。また、レーザー照射と分光で共通の対物レンズを用いているためシステムが簡便であり、試料交換に伴う光学系の再現性に優れる。従って、レーザー発光分光(LIBS)による元素の定量においての再現性向上が期待できる。また、希ガス同位体質量分析部の改良においては、40Arのバックグラウンド低減が重要であったが、装置全体での40Arバックグラウンドを<5E-12 cm3STPという極微量にまで下げることが出来た。これは始原隕石にふくまれる直径50マイクロメートルの斜長石でも年代測定が可能となる条件に相当する。これらの成果の一部は、学会及び研究会等において報告した。一方、今年度は真空配管部品に度重なる不具合が発生したため、研究計画に若干の遅れが生じ、実際の試料分析までは到達していない。しかし、数ヶ月中には標準試料および岩石試料の分析を行えるめどがついたため、今後は早急に実際の試料分析を行う予定である。
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Meteoritics & Planetary Science
巻: accepted ページ: accepted
Mass Spectrometry
巻: A0009 ページ: 1-10
10.5702
Science
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