研究概要 |
最終年度である平成25年度には,前年度までに観測したプラズマ周期構造によるバンドギャップ発現現象に関して,再現性を取得するとともに,高周波電力を増加させ,最大プラズマ密度1e10/cc のプラズマ密度生成を行い,バンドギャップ現象に対するプラズマ密度の効果について実験的に調べた.その結果,1-2 GHz帯の大きな透過率の減少に加えて,2.2 GHz, 3GHz近傍に二つの透過率が減少する周波数帯が発現することが明らかになった.またその透過率はプラズマ密度を増大させるとともに減少し,さらに周波数帯も徐々に増加することが明らかになった. 周期的境界条件を考慮した電磁界解析を行ったところ,1-2GHz帯の透過率減少は,プラズマ周波数帯域に相当しており,これは周期的構造の存在とは無関係であることが明らかになった.一方,周期的境界条件を考慮した際に,1-2GHzの透過率減少に加えて,3GHz近傍にバンドギャップ構造が発現することが数値解析で明らかになり,上述の実験結果を訂正的に説明できることを示した.またプラズマ密度に対するバンドギャップの挙動に関しても実験結果と数値解析結果が定性的に一致することを明らかにした.したがって,低気圧プラズマ中においてプラズマ密度を空間的に変調することによって,特定の周波数帯のマイクロ波に対して伝搬禁制帯を形成できることを示し,その周波数帯や透過率をプラズマパラメータによって電気的に制御できることを示した. また数値解析結果から,異なる領域のプラズマ密度差を大きくすることで透過率を劇的に減少できることを明らかにし,今後のマイクロ波制御法として実用化するための課題を明らかにした.
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