研究課題/領域番号 |
23654199
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金子 俊郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30312599)
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研究分担者 |
李 永峰 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40400296)
畠山 力三 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (00108474)
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キーワード | ジェットプラズマ / 内包フラーレン / ナノチューブ / DNA / イオン照射 |
研究概要 |
量子コンピュータ素子として注目を集めている窒素原子内包フラーレン(N@C60)のナノメートルオーダーの配列制御を実現することを目的として,前年度に引き続き,N@C60をカーボンナノチューブ(CNT)に内包させる手法として液滴ジェットプラズマ装置を用いて,CNTへのN@C60の挿入実験を行った. 1. これまでに,トルエン中に空のフラーレンC60を導入し,液滴ジェットプラズマを用いて基板上のCNTに照射することによって,C60イオンがCNTへ内包されたことを示す結果が得られている.そこで,トルエン中に純度10%に濃縮したN@C60(90%は空のC60)を導入し,C60の場合と同様にCNTへの照射実験を行った.N@C60含有プラズマジェットを照射したCNTの電子スピン共鳴(ESR)分析を行ったところ,N@C60を示すピークは得られなかった.一方,プラズマを生成せずに,N@C60含有トルエンをCNTへ吹きつけたところ,純度は1/3に低下したがESRにおいてピークが観測された.この結果は,トルエン中に溶解しているN@C60が,プラズマから放射される紫外線によって分解されてしまったためと考えられる. 2. N@C60の紫外線に対する影響を調べるため,高純度のN@C60(40%)の紫外可視吸収(UV-Vis)スペクトルおよびESRスペクトルの紫外線(波長365nm)照射時間依存性を測定した.その結果,高純度のN@C60で観測されたC60とは異なる2つのUV-Visスペクトルピークが,紫外線照射時間経過とともに減衰することが観測された.さらに,N@C60を示すESRピーク強度も次第に減衰していくことが観測されたため,N@C60は紫外線によって分解されることが明らかとなった. 3. 高純度のN@C60で観測された新たなUV-Visスペクトルピークを解析した結果,その吸収波長から算出されるバンドギャップを理論的に導出した結果と比較することによって,C60に内包された窒素原子が,内部中空中心では無く側壁近傍に局在している可能性が示唆された.
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