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2011 年度 実施状況報告書

超臨界流体中でのプラズマ反応を利用した新奇炭素系材料の合成と物性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23654202
研究機関東京農工大学

研究代表者

渡辺 敏行  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10210923)

研究分担者 戸谷 健朗  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術職員 (50397014)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードダイヤモンド / カーボンアロイ / 超臨界流体 / プラズマ / 触媒
研究概要

従来の主な炭素材料合成法である化学気相合成法(CVD)は数百Pa程度の圧力下で行われるため、原料である炭化水素ガスの単位体積当たりの密度は低く、合成に時間がかかることが問題であった。我々は合成速度を高めるために高密度の超臨界流体を原料として利用することを考えた。超臨界流体とは高拡散性・低粘性の気体の性質と高密度・高溶解性の液体の性質を併せ持っている流体である。超臨界流体を反応媒体のみならず原料として利用し、原料活性種密度を高めることにより、合成時間の短縮が期待される。 超臨界二酸化炭素中でRFプラズマ発生させることにより、電極上にナノダイヤモンドを合成することに成功した。プラズマ放電により、二酸化炭素が分解し、一酸化炭素および酸素、C2分子が生成し、C2分子が反応してダイヤモンドに成長していくことが判明した。この際、ダイヤモンド以外にグラファイトも生成するが二酸化炭素が分解して生じる酸素分子により、グラファイトはエッチングされ、ダイヤモンドだけが残ることがわかった。 また、白金代替触媒として注目を集めている含窒素カーボンアロイの合成に取り組んだ。電極に非晶質カーボンを用い、雰囲気を超臨界窒素にしてプラズマ放電を行った。その結果、グラファイトはC2分子に分解され、窒素と反応してCN分子が生成していることを発光スペクトルより確認した。また、電極上に含窒素カーボンアロイが合成できていることをEDX、XPSより明らかにした。プラズマ放電時の窒素とArの割合を4:1にすると、窒素の導入量が増加した。また、圧力が4MPa程度の時は直径サブミクロン以下の粒子状の生成物が、それ以外の圧力ではファイバー状の生成物が得られた。得られた粒子状、ファイバー状の生成物は共にアセトン中に良く分散した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

電源を改造し、プラズマ増強化学超臨界流体堆積法(Plasma Enhanced Chemical Supercritical Fluid Deposition(PE-CSCFD))に最適な放電状態を得られるようになった。このため、放電時間60分程度で最大10mgの炭素材料の合成に成功した。また、放電時のガスの雰囲気と圧力により得られる炭素材料中に含まれる窒素の量や形状を制御できることが明らかになった。得られた材料の電子物性計測は共同研究者が所有する装置の故障により若干遅れているが、それ以外の点では当初の目的を概ね達成している。

今後の研究の推進方策

プラズマ放電によって得られた材料の電子物性を明らかにする。また、この材料の化学構造を各種分光学的手法および透過型電子顕微鏡による観察を通じて、明らかにする。特に材料の形状の放電圧力依存性がどのようなメカニズムにより発現するのかを解明する。 電気化学的手法により得られたカーボンアロイ材料の触媒活性を評価する。酸素還元特性および排気ガス触媒(三元触媒)としての評価を行う。材料の化学構造ー触媒活性相関を明らかにする。 また、プラズマ放電によって得られたカーボンアロイ材料がアセトン中や水中に均一に分散することが明らかになった。この系がなぜ、有機溶媒や水に対する分散性が良いのかを明らかにする。また、これらの材料を高分子中に均一分散させることができるかどうかも検討する。

次年度の研究費の使用計画

次年度の研究費は合成したカーボンアロイのキャラクタリゼーションを行うための、分析機器使用料および原料ガス、電極などの消耗品代にあてる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Material transformation from carbon dioxide to nano-diamonds and metal oxides by chemical supercritical fluid deposition2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Suga, M. Sone, T. Watanabe
    • 雑誌名

      J. Nanosci. Nanotech.

      巻: 12 ページ: in press

    • 査読あり
  • [学会発表] Reversible on-off recording of long lived room temperature phosphorescence2011

    • 著者名/発表者名
      K. Totani, C. Adachi, S. Hirata, H. Kaji, S. R. Marder, T. Watanabe, J. Zhang
    • 学会等名
      ICONO12/ICOPE2011
    • 発表場所
      Trinity College, Dublin, Ireland
    • 年月日
      September 7, 2011
  • [図書] 化学同人2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺敏行、平田修造
    • 総ページ数
      120-122
    • 出版者
      「高分子と光が織りなす新機能新物性」分担執筆第10章「感熱型蛍光記録材料」

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公開日: 2013-07-10  

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