従来の主な炭素材料合成法である化学気相合成法(CVD)は数百Pa程度の圧力下で行われるため、原料である炭化水素ガスの単位体積当たりの密度は低く、合成に時間がかかることが問題であった。我々は合成速度を高めるために高密度の超臨界流体を原料として利用した。超臨界流体を原料として利用し、原料活性種密度を高めることにより、従来のプラズマCVD法の1000倍の速さで材料の合成が可能となった。 超臨界二酸化炭素中でRFプラズマ発生させることにより、電極上にナノダイヤモンドを合成することに成功した。プラズマ放電により、二酸化炭素が分解し、一酸化炭素および酸素、C2分子が生成し、C2分子が反応してダイヤモンドに成長していくことが判明した。この際、ダイヤモンド以外にグラファイトも生成するが二酸化炭素が分解して生じる酸素分子により、グラファイトはエッチングされ、ダイヤモンドだけが残ることがわかった。 また、白金代替触媒として注目を集めている含窒素カーボンアロイの合成に取り組んだ。電極に非晶質カーボンを用い、雰囲気を超臨界窒素にしてプラズマ放電を行った。その結果、グラファイトはC2分子に分解され、窒素と反応してCN分子が生成していることを発光スペクトルより確認した。また、電極上に含窒素カーボンアロイが合成できていることをEDX、XPSより明らかにした。また、圧力が4MPa程度の時は直径サブミクロン以下の粒子状の生成物が、それ以外の圧力ではファイバー状の生成物が得られた。得られた粒子状、ファイバー状の生成物は共にアセトン中に良く分散した。ファイバー状物質を透過型電子顕微鏡により解析した所、節のあるバンブーライクナノチューブであることが判明した。また、窒素の導入率も10at%に達していた。この試料の酸化還元電位を回転リングディスク電極法により評価したところ、白金触媒の1/10の電流密度が得られた。
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