本研究では、これまでにない面不斉シクロファンの効率的な立体選択的合成法の開発を目的とし、研究を行った。具体的には、まず光学活性なC2対称シクロファンの合成し、それらを鈴木-宮浦法にてクロスカップリング可能な誘導体(ビストリフラート)へと誘導後、様々なアリールホウ酸と反応させた。その結果、それぞれ対応するポリフェニレン誘導体を収率よく得ることができた。さらに、この方法を反復利用することにより、シクロファン骨格を3つ含む、ペンタフェニレン誘導体を合成することにも成功した。分子力場計算によりこの化合物の安定配座を求めたところ、一方向へねじれた螺旋構造をとっていることが分った。
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