研究課題/領域番号 |
23655036
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 卓也 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20437198)
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キーワード | ジアゾカルボニル化合物 / キラルブレンステッド酸 / 不斉合成 |
研究概要 |
平成23年度の成果において、分子内反応におけるキラル酸触媒によるジアゾカルボニル化合物の直接的活性化が高立体選択的に進行し不斉Friedel-Crafts型反応の確立に成功した。またこの研究の中で反応機構の詳細な検討を行った結果、ルイス酸触媒反応ではなく、ルイス酸によって活性化されたブレンステッド酸触媒によって反応が進行していることが強く示唆された。この事実をもとにキラルブレンステッド酸触媒を利用した触媒的不斉ジアゾカルボニル化合物活性化法を検討することとした。反応系として環状α-ジアゾ-β-ヒドロキシエステルを基質とした非対称化を伴った不斉環拡大反応を選択し、また触媒としては研究代表者らによって開発された軸不斉ジカルボン酸触媒を用いることとした。その結果、新しい軸不斉ジカルボン酸触媒を新たに設計することによってエナンチオ選択的に本反応が進行することが見出された。得られる化合物はDiels-Alder反応などの一般的有機合成では構築の困難な7員環化合物であり、今後は本生成物を利用した合成化学の発展が期待できる。なおこの研究成果は本研究課題である酸配位ジアゾニウム炭素活性種の合成利用のみならず、キラルブレンステッド酸触媒がアニオン性炭素を直接活性化できることを証明したため有機酸触媒分野のさらなる発展につながるものと考える。現在これら研究結果に基づき分子内反応ではなく、分子間反応において同様のことが行えないか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定されていたように、キラルブレンステッド酸を用いることで望みとしているジアゾカルボニル化合物の直截的活性化が行えること、およびエナンチオ選択的不斉合成へ展開できることが証明された。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、研究課題において仮定されていた酸触媒によるジアゾカルボニル化合物の活性化という経路が、触媒的不斉合成に展開可能であることを明らかとした。しかしながら現段階では適用可能な反応が分子内反応に限られており、今後分子内反応を高立体選択的に行えるような触媒および反応系の探索を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も引き続き試薬、シリカゲル、ガラス器具などの有機化学の研究に必要な物品費を多く必要とする予定である。また研究成果の発表と情報収集のための学会参加も積極的に行う。
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