研究課題
カテコラートを組み込んだジベンゾシクロオクタジエンを母核とする8員環二核白金錯体のNMRスペクトルについて、温度可変測定など詳細な検討を行った。電気化学的酸化により6パイ電子系のジカチオン種を発生させその紫外・可視・近赤外吸収スペクトルを測定し、混合原子価状態の生成を確認した。また化学的酸化により発生させたジカチオンのNMRスペクトルを測定し、6パイ電子系に起因する芳香族性が発現することを確認した。さらに、中性状態、1電子酸化状態、2電子酸化状態(ジカチオン)に関する量子化学計算を行い、実験値との比較検討を行った。2パイ電子系のジカチオンカテコラート錯体を発生させるため、4パイ電子系のビフェニレンカテコラート白金錯体の前駆体となるテトラメトキシビフェニレンの効率的な合成を達成することができた。さらにメトキシ基を除去し穏和な条件化で除去できるシリル保護基に置き換えることも達成した。この前駆体を用いて白金錯体の合成を行ったところ、錯体の生成を確認することができたものの、非常に大気下で不安定であることがわかった。中性状態の錯体が不安定であるため、ジカチオンの生成にまでは至らなかった。本研究の総括として、12パイ系と8パイ系のカテコラート白金錯体は比較的安定な化合物として合成でき、それぞれの酸化種も電気化学的および化学的に発生できること、またそれにより生成する10パイおよび6パイ電子系のジカチオン種が芳香族性を示すことを明らかにした。
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Chemistry, A European Journal
巻: 19 ページ: 11251-11260
10.1002/chem.201300838
http://www.supra.chem.es.osaka-u.ac.jp/