研究課題
挑戦的萌芽研究
近赤外光を吸収する高共役有機化合物は、有機太陽電池の高性能化には欠くことの出来ない材料である。本申請の研究では、近赤外に吸収を持つ新規骨格色素を合成し、その電子状態を解明し、前駆体塗布変換法を用いて、有機太陽電池としての特性の検討を目指した。ポルフィリンなどの平面二次元的に広がったπ電子系をベンゼン環で融合させた場合、融合された長軸上の横遷移とポルフィリン単体に由来する短軸上の縦遷移が必ず存在する。このため、この融合法では長波長側の吸収を近赤外領域に持っていくことができても、可視領域に強い吸収が残る。一方、ボロンジピロメテン(BODIPY)のπ電子系は、ほぼ一次元に広がっており、500nm付近に1つだけ強い吸収帯を持つ。このπ電子系を長軸方向で融合してbisBODIPY としたところ、横遷移に由来する近赤外領域だけに吸収をもつ色素の合成に成功した。さらに、電子吸引性基を導入することで耐酸化性の向上も達成し、大気下で安定な近赤外色素の開発に成功した。現在、協力企業において、近赤外特異フィルター、有機太陽電池などとしての利用を検討中である。
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http://chem.sci.ehime-u.ac.jp/~orgchem1/