研究課題/領域番号 |
23655051
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村橋 哲郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40314380)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | サンドイッチ化合物 / パラジウム / 白金 / 金属クラスター |
研究概要 |
「メタロセン型クラスター錯体」は、2枚の不飽和炭化水素配位子の間に金属シートを組み入れたサンドイッチ型有機金属クラスターであり、本研究者が2006年に初めて合成に成功している。メタロセン型クラスター錯体の発見は、「安定で有用なサンドイッチ化合物=単核メタロセン錯体」という従来の概念を打ち破り、2次元金属シートを持つサンドイッチ化合物が安定に存在することを初めて実証するものである。これまでに合成してきたメタロセン型クラスター錯体は、同一の金属(PdあるいはPt)により構成された金属シートを持っている。一方、もし、2種類以上の金属種が混合したメタロセン型異種金属クラスター錯体を選択的に構築することができれば、フラグメンテーションに対して安定で、かつ異なる金属種がどちらも反応点になり得る異種金属クラスターを構築することができると期待される。平成23年度では、PdPt2組成およびPd2Pt組成を持つ3角形状3核サンドイッチ化合物の合成を目指した検討をおこなった。PdPt2組成を持つ異種金属混合シートサンドイッチ錯体については、Pd2(dba)3とPt2(dba)3をトロピリウム塩と混合することによって選択的に合成できることを明らかにした。一方、Pd2Pt組成を持つ異種金属混合シートサンドイッチ錯体については、同様の方法では選択的に合成することが難しいことが判明した。そこで、別の手法を探索した結果、シクロヘプタトリエン間にPd2Ptシートを形成させ、次いで塩基触媒下で酸化的に脱水素化することでPd2Ptシートをトロピリウム間に構築できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、異種金属混合シートを持つサンドイッチ化合物を初めて合成することを目指した研究である。当初の研究計画では、平成23年度にPdとPtが混合した3核シートサンドイッチ錯体の合成を検討し、可能であればPd2Pt組成とPdPt2組成の構造を選択的につくりわけることを目標としていた。この目標は平成23年度中にほぼ達成できており、Pd2PtおよびPdPt2サンドイッチ化合物を選択的に合成できることを明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成23年度までにおこなってきた異種混合3核シートサンドイッチ化合物について、その合成と基本的性質について細部をつめ、論文投稿段階に進めることを目指していく。また、これまでに得た反応機構の知見に基づいて、異種金属混合4核シートサンドイッチ化合物の合成に挑戦する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、主に消耗品と国内旅費に充当する。
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