研究概要 |
・新規高安定型ヒドロゲナーゼの探索と単離 水素酸化菌には80 ℃以上の超高温から低温まで幅広い温度範囲で生育する様々な種がある。その中には、80 ℃以上の超好熱性菌由来のヒドロゲナーゼ遺伝子が低温性菌に水平伝播されたユニークなものが存在する可能性がある。その低温性菌由来のヒドロゲナーゼは低温から超高温条件(20-90 ℃)まで高活性を示す高安定型酵素である可能性が非常に高い。 ヒドロゲナーゼは燃料電池の触媒や水素エネルギーの生産などにその利用性が期待される。しかし、ヒドロゲナーゼの利用面において最も厄介なのはその活性の不安定性である。特に水素発生型ヒドロゲナーゼのほとんどは、酸素や一酸化炭素に暴露すると短時間で失活してしまう。本年度は、低温から超高温条件まで高活性を示し、また、酸素に暴露しても酵素活性が阻害されない高安定型ヒドロゲナーゼを保持する新規な生物資源の検索・単離を行い、新規高温性ヒドロゲナーゼの培養・選択に成功した(Citrobacter sp. strain S-77)。本成果について、現在論文投稿中である。・ヒドロゲナーゼ活性化状態モデルジヒドリド錯体の合成 本年度は、ヒドロゲナーゼ活性化状態モデルである6配位ニッケルジヒドリド錯体の合成に世界で初めて成功し、その構造をX線構造解析により同定した。さらに、ジヒドリド錯体からの水素発生反応メカニズムを明らかにした。本研究成果を論文にて発表した(Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 10578)。
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次年度の研究費の使用計画 |
光合成モデル電池を作製し、その反応メカニズムを解明するためには、18-水(シグマアルドリッチ、1g、156,000円)、重水(Wako、10 g、3,300円)のような安定同位体が不可欠である。安定同位体を中心に、研究を進めるにあたって必要な錯体合成試薬やガラス器具等の購入を予定している。また、電極作製のために、カーボンブラック(Cabot社製、バルカン)、電解質膜(シグマアルドリッチ、1枚、Nafion(R) perfluorinated membrane, Nafion(R) NRE-212, thickness 0.002 in、50,600円)、電解質(シグマアルドリッチ、100 mL、Nafion(R) perfluorinated resin solution, 20 wt. % in lower aliphatic alcohols and water, contains 34% water、79,500円)、カーボンクロス(東陽テクニカ)等の購入を予定している。 国内外での研究成果の発表のために、旅費を計上する。
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