研究課題/領域番号 |
23655060
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
壹岐 伸彦 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (50282108)
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研究分担者 |
星野 仁 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20124620)
高橋 透 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30361166)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | イメージングプローブ / 発光イメージング / 磁気共鳴イメージング / ランタニド / チアカリックスアレーン |
研究概要 |
医療分野のキーテクノロジーであるバイオイメージング法の感度や分解能の限界を打破すべく,磁気共鳴イメージング(MRI)とランタニド(Ln)発光イメージングとの重畳を実現するデュアルイメージングプローブ(DIP)を開発する.本研究では申請者らの見いだしたチアカリックスアレーン(TCA)が複数のLnを含むコアを2個のTCAで挟み込んだ超分子錯体を形成することを利用して新しいDIPを創製する.本年度は異核副核錯体の単離を想定し,その前段階としてLnn・TCAmの単一生成条件を精査した(n, m: 整数).その結果,TbIII- TCA二元系溶液では,Tb1・TCA1錯体が生成した後,pH 7.4ではTb3・TCA2およびTb4・TCA2錯体,pH 9.5ではTb3・TCA2およびTb2・TCA2錯体を生成することを解明した.YbIII‐TCA二元系溶液ではYb1・TCA1錯体が生成した後にYb3・TCA2錯体のみ生成することが解明した.NdIII‐TCA二元系溶液では,Nd1・TCA1錯体が生成した後にpHによらずNd3・TCA2およびNd4・TCA2錯体を生成することを解明した.さらに他のLnIIIとTCAとの自己組織化挙動を調査した結果,CeIIIからNdIIIはNdIII-TCA系,SmIIIからErIIIはTbIII-TCA系,TmIIIからLuIIIはYbIII-TCA系と同様のサンドイッチ型錯体を生成し,錯体の構造とLnIIIの原子番号(イオン半径)の間に規則性があることが判明した.生成した錯体はいずれも速度論的に安定であり,DIPの要件「解離しないこと」を満足している.また,上記自己組織化挙動の解明は,異核副核錯体を段階的に生成できる可能性を示唆しており,DIP実現に向けた重要なステップとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鍵となる異核副核錯体の生成にかかわる重要な知見,すなわち段階的な生成を明らかにしており,おおむね順調と言える.
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今後の研究の推進方策 |
段階的にDIPを生成させ,その構造,速度論的安定性,磁気緩和特性,発光特性を評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である.
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