本研究では、層流中に温度勾配(屈折率勾配)を形成させ、GI型光ファイバーのような屈折率分布を持つ、コア・クラッドともに液体である液液光導波路を構築し、その性質を調べた。 ステンレス管(内径800 μm)にLCポンプを用いて純水を送液し、アクリルパイプ内に恒温器で温度を調節した温水(30 ℃~70 ℃)を流すことによって、ステンレス管を外部から加熱し、管内を流れる純水に温度勾配(屈折率勾配)を形成させた。光源光は光ファイバーを介してステンレス管内に導入し、さらに、管内を導波した光を、検出器側の光ファイバーを介して検出した。 まず、検出器側の光ファイバーの位置(導波距離)を固定して、加熱温度・流速の影響による導波光の強度変化を観察した。また、その結果を、数値流体力学ソフト(COMSOL)を用いて管内を流れる純水の温度分布シミュレーション(CFDシミュレーション)を行い、それぞれの実験結果と比較した。実験では、導波光強度は流速を遅くすると低下し、速くすると上昇した。また、各流速において加熱温度を高くすると強度が上昇した。これらの結果は、管内の温度勾配の大きさに関するCFDシミュレーションの結果によって説明されることが分かった。また、検出器側の光ファイバーを、ステンレス管内をスライドさせて導波距離を変化させて強度を測定したところ、強度は距離に対して振動し、加熱温度が高いほどその周期が短くなることがわかった。この現象はGI型光ファイバーの理論により説明される。
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