研究課題/領域番号 |
23655064
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
火原 彰秀 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30312995)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 画像化 / レーザー分光分析 / マイクロ流体 / 光熱変換分光 |
研究概要 |
CCDを検出器として用いた光熱変換分光法について検討した。波長532 nmの励起光と波長633 nmのプローブ光を、それぞれ音響光学素子で変調し、同軸にした後、顕微鏡ステージ上のガラス製マイクロ流体チップ中の液体試料に照射した。励起光を除去した後、プローブ光をCCD(12bit、プログラム可能)に導入した。励起光の変調周波数を1743 Hz、プローブ光の変調周波数を1748 Hzと5 Hzの差をつけ、CCDを20 Hzで動作させた。励起光による光熱変換現象と、プローブ光照射に5 Hzのうなりが生じ、うなりの一周期中に四枚のCCD画像が得られる。この四枚の画像の四則演算および積算により光熱変換画像を得た。幅220マイクロメートル、深さ100マイクロメートルの流路をもつガラス製マイクロ流路チップを用いた。試料には、色素Sudan IVのトルエン溶液を用いた。励起光強度が数mWの条件で、1.0×10-6 Mの溶液を問題なく検出できることがわかった。 CCDを検出器として用いる場合、光強度を電気信号に変換してすぐに、アナログ/デジタル(A/D)変換するため、計測の感度はA/D変換のbit数に制限される。12bitのCCDを用いる場合、4096階調であり、光強度の10,000分1の信号強度を取得することは原理上できず、本手法の感度上の制約となる。この問題を解決するためには、A/D変換前にアナログ信号処理をする必要があり、光電変換する素子ごとに信号処理回路を集積化することを考えるとアナログCMOS回路を用いることが適切である。CMOS回路設計の前段階として、光ダイオードを用いた予備実験を始めた。バンドパスフィルター、増幅器、ハイパスフィルター、整流器を光ダイオードに接続した。この回路により、光熱変換信号が増幅可能であり、信号強度が直流成分として得られることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、CCD画像検出法により実験条件を検討した。また、光ダイオードとアナログ回路を用いた実験では、増幅した光熱変換信号が直接得られることを確認した。本年度計画した研究は達成されたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
CCD画像化法(ダウンコンバージョン法)の応用可能性を検討する。レーザー分光法としては、準弾性光散乱法によるアレイ型マイクロ構造における光散乱画像化を想定している。また、アナログ回路の最適化を進め、CMOS光イメージセンサー用の回路を設計する。
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次年度の研究費の使用計画 |
原理検討及び応用のための試薬・実験材料・光学部品などのための物件費として600千円、成果発表のための旅費として400千円、学会参加登録費や投稿論文校閲などのために100千円が必要である。
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