実験データに基づき、水面分子クラスター化学とでもいうべき新研究分野の開拓を図ることを目的とした。具体的には、紫外光励起共焦点蛍光分光顕微鏡を開発して用い、"水面に吸着した小分子量(<300)の有機化合物は、極微量であっても水面上ではクラスターを形成する"ことを実験的に検証すべく、芳香族化合物や色素を観測対象として検討を進めた。"紫外光励起共焦点蛍光分光顕微鏡の開発"を目指し、高出力キセノン光源と全反射励起を用いて新たに設計・試作したセミ共焦点蛍光顕微鏡装置について、波長分解能、波長再現性等を評価した。特に、水面選択的に蛍光励起スペクトルを測定する汎用手法が皆無であることに注目して、光源の分光強度および蛍光分光感度の補正をし、250~500nm 帯で波長可変という特徴を持つ装置として完成した。"水面吸着芳香族化合物の測定と状態解析法の開発"について、ピレンをターゲットに絞り、吸収・発光特性の溶媒依存性を検討し、水面吸着分子に特有なスペクトルが観測できることを確認した。水面 pH の新規決定法を提案し、pH の測定範囲を酸性側から中性~塩基性領域まで拡大した。研究成果の一部は国内・国際学会等で発表済みであり、一部はより詳細な検討を必要とする課題としてまとめている。
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