研究課題/領域番号 |
23655069
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高藤 誠 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50332086)
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研究分担者 |
ガナパシー ヒュラシー 熊本大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90551276)
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キーワード | キラル超分子 / 分子認識 / 液体クロマトグラフィー / 異性体分離 |
研究概要 |
医薬、環境科学、工業材料などの分野において、光学異性体や構造異性体の精密分離・分析は重要な基盤技術である。これまでにHPLC用キラル固定相に関して、様々なアプローチや具体的な分離例が報告されてきた。例えば、ポリシュガー、ポリペプチドなどの規則的立体構造をもつ天然ポリマーや、立体特異的低分子をインプリントした固定相などが挙げられる。本研究では、キラル分子が形成するユニークな分子配向体が形成する不斉ナノキャビティの立体特異的ナノ空間を利用した分子形状の精密認識システムの開発を目的とし、キラル分子を基材界面に配向状態を維持したまま安定化した固定相の開発およびその精密分子形状認識・分離システムへの応用を目指した研究開発を行った。 アルコキシシリル基を導入したグルタミド誘導体を数種類合成し、多孔質シリカ球状粒子界面にシランカップリング反応を介して固定化した。グルタミド誘導体は、有機溶媒中でキラル炭素近傍のアミド結合が分子間で水素結合することで、不斉分子配向体を形成する。熱分析および懸濁状態での13C-NMRの結果、グルタミド誘導体は、シリカ界面固定化後も溶媒中の配向体と類似した構造を形成していることが示唆された。置換基およびスペーサー長の異なる数種のグルタミド誘導体固定化シリカの分子認識能を評価した結果、市販のオクタデシル化シリカと比較していずれも多環芳香族類や芳香族異性体類に対して高い分子認識能を示した。分子配向体が形成する立体空間中に配置された複数の相互作用ポイントにより、ゲスト分子の平面性、直線性を認識していると考えられる。グルタミド誘導体固定化シリカによる核酸塩基類、ステロイド類、トコフェロール類などの生体分子についても評価し、特定の分子に対して高い分子認識能を示すことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
配向性分子であるグルタミド誘導体を多孔質シリカ界面にグラフト化した固定相を用いて、界面の分子配向構造が創り出すナノ空間を利用した分子認識について評価を行った。その結果、精密な幾何異性体分子や構造異性体分子の認識が可能であることが確認された。 本研究では分子配向体が形成する特異的空間の機能開発を提案しており、これまでの結果から界面空間機能を分子形状認識への応用できる可能性が示唆されており、おおむね当初の予定通り研究が進んだと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
配向性分子を界面に固定化することで得られる特異的空間を分子認識へ応用できる可能性が示唆され、キラル炭素をもつ配向性分子が形成するキラル立体空間を利用した生体関連分子の分離について検討した。今後、さらに分析評価を進め、配向性分子が形成するキラル立体空間を利用した分子認識の可能性について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を発表するための学会参加費、旅費ならびに追加実験のための消耗品費を計上する計画である。
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