本研究では、研究代表者が開発に成功している触媒的不斉合成と光化学を融合することで、従来法では得られない新規な立体ならびに分子骨格を有する特徴ある化合物を創出することを目指した。例えば、インドールとニトロアルケンならびにアルデヒドを基質に用いるFriedel-Crafts/Henry反応においてtrans-ニトロアルケンのcis-ニトロアルケンへの光異性化と組み合わせることで、従来の熱反応では得られない新規な立体を有する化合物を得ることに成功した。本手法は、ニトロアルケンとイミノエステルの[3+2]環化付加反応にも適用可能であり、その一般性を示すことができた。さらに、金属近傍にプロトンを有する錯体触媒を用い、光励起によりその活性が影響されることを見出し、錯体触媒科学の光制御に有用な知見を得ることができた。
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