研究概要 |
申請者が最近、報告した三価インジウム触媒を利用する様々なSN1型炭素-炭素結合形成反応(Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 1414. Angew. Chem., Int. Ed. 2006, 793. Org. Lett. 2007, 4931. Tetrahedron, 2009, 5462. Angew. Chem., Int. Ed. 2009, 9131.)を元にして、提案する不斉反応の検討を行った。まずは、モデル反応として臭化インジウム触媒による有機塩化物とシリルエノラートのカップリング反応を選択した。この反応は低温でも進行することがわかっているので、初期の反応条件検討には適した反応系である。不斉アニオンとしては、アルコキシドアニオンやリン酸イオンなどを用いた。以上のように、初年度で不斉アニオンとカウンターカチオンの最適化を行い、次年度につながる重要な知見が得られた。それらの知見は以下の通りである。まずは不斉アニオンではなく、ラセミ体のアニオンを用いて反応の条件の探索を行った。予想通り、アニオン存在下でもカップリング反応は低温で進行した。このアニオン存在下でも反応が上手く進行することは本研究達成の上で最も重要な前提条件である。続いて、不斉アニオンを用いて検討したが、不斉収率は芳しくなかった。今後は不斉アニオンの検討を中心に行っていく。
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