研究課題
前年度までに、トリフルオロ酢酸、あるいはその塩の酸化電位が非常に高く、これを低下させるためにクラウンエーテル等のエーテル系の添加剤を加える試みを行ってきた。しかしながら、通常のバッチ系の電解装置ではこの問題の解決は非常に難しいことがわかった。そこで、根本的に反応システム自体を変更することとし、フロー型のマイクロ電解装置の開発に着手し、トリフルオロ酢酸をいかに電極上で効率よく酸化するか、という課題に焦点をあてて研究を進めた。モデル反応として、ベンゾニトリルとトリフルオロ酢酸を共存させ、これを電解酸化に供してトリフルオロメチル化する反応を採用し検討を行った。最初にフロー型のマイクロ電解装置としては炭素棒電極同士が向かい合ったものを作成して反応を行ったが、電流効率が著しく低く、効率的な反応はおこらなかった。そこで、バイポーラ電極を装置内に構築し電解を行なった。バイポーラ電極とは電源と非接触の電極を反応装置内に構築することにより、電極の面積を向上させることを目的とした電極である。バイポーラ電極を用いると、前者に比べてごく僅かな電気量で目的物を得ることに成功した。通常、電解反応においては電荷の移動を担うため支持電解質の存在が必要であるが、今回のマイクロ電解装置を用いた条件検討では支持電解質無しの条件下でも電解反応を行うことに成功した。この反応系では陰極側から陽極側に送液を行なっているため、電解によって発生したアセテートイオンが電荷の移動を担い、電解反応が進行しているものと考えられる。現在までに目的のトリフルオロメチルカチオンの生成は確認できていないが、このフロー型のマイクロ電解系が本課題を解決する上で一助となりうるのではないかと考えている。
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