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2011 年度 実施状況報告書

一酸化炭素保持分子による合成化学

研究課題

研究課題/領域番号 23655088
研究機関大阪府立大学

研究代表者

柳 日馨  大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80210821)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードカルボニル化 / ヒドロキシメチル化 / ホウ素錯体 / 一酸化炭素 / ホルムアルデヒド / Koch-Haaf反応 / フロー反応
研究概要

本挑戦的萌芽研究では一酸化炭素が配位性分子である事に着目し、ブレンステッド酸やルイス酸との錯形成能力を活かした反応系の開拓を行い、高度な一酸化炭素導入法の構築へと導く事を目的としている。ギ酸と濃硫酸から一酸化炭素を生成させる方法にまず着目した。この方法はKoch-Haaf 反応に用いられているが、低温での温度制御や滴下制御などの必要性と常圧バッチ系での反応であるため、大過剰の一酸化炭素ガスを用いることとなっていた。そこでこの系を化学量論量の一酸化炭素の生成とつづく反応を行なうためのモデル実験としてとらえ、温度制御に優れたマイクロフロー型リアクターによる反応を行なった。その結果、室温付近における連続フローの反応条件において目的カルボン酸が良好に得られることがわかった。また一酸化炭素の使用当量数も大きく減ずることが出来た。次にガス透過性のPTFEチューブを用い、これが内部に来るような二層管型反応システムを設計した。内部の管でギ酸と濃硫酸を反応させ、膜を透過し外管に移動した一酸化炭素の反応を検討した。その結果、外管にパラジウム触媒を用いたヨードベンゼンのアミン溶液を流す事で、触媒的アミノカルボニル化反応が良好に進行する事を明らかとした。すなわち内側に強酸、外側にアミンを配したガス透過型の二層管フロー型反応装置が酸・塩基の直接反応に影響される事なく有効に機能した。このように系中で発生させた一酸化炭素を即座にカルボニル化に供するための高効率フローシステムの構築に成功したことからこのシステムを活用することで錯形成を含め、一酸化炭素の反応性の制御を行いこれを新たなカルボニル化反応開発へと展開する基盤を築くことができた。またフロー系で熱的に発生させたホルムアルデヒドを用いたヒドロキシメチル化反応も成功裏に行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一酸化炭素ガスボンベを使用することなしに触媒的カルボニル化反応を実施する方法を開発し、フロー系反応で行なう事で発生させた一酸化炭素を即座かつ完全消費するシステムを構築し、さらにガス透過膜を用いた二層管反応システムでのカルボニル化反応にも成功した。一方、透過膜を抜け反応層に移動した一酸化炭素の反応におけるブレンステッド酸の影響についてはさらなる詳細な検討を必要とする。

今後の研究の推進方策

フロー型二層管反応システムによるカルボニル化を遷移金属触媒反応にとどまらず、ラジカル種やアニオン種など種々のカルボニル化反応系に応用していく。フロー型二層管反応システムによる発生させた一酸化炭素を各種ホウ素化合物ならびに希土類化合物と錯形成をさせた後、シリアルに連結させたフローシステムでカルボニル化反応に供する。

次年度の研究費の使用計画

研究費は多くを有機試薬や無機試薬そしてガス透過性PTFE管の購入などの消耗品に振り分ける計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Radical Addition of Alkyl Halides to Formaldehyde in the Presence of Cyanoborohydride as a Radical Mediator. A New Protocol for Hydroxymethylation Reaction2012

    • 著者名/発表者名
      Kawamoto,T.; Fukuyama,T.; Ryu,I
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc

      巻: 134巻 ページ: 875-877

    • DOI

      DOI:10.1021/ja210585n

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Free-Radical Mediated Hydroxymethylation Using CO and HCHO2012

    • 著者名/発表者名
      Kawamoto, T.; Ryu, I.
    • 雑誌名

      Chimia

      ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Koch-Haaf Reaction of Adamantanols in an Acid-tolerant Hastelloy-made Microreactor2011

    • 著者名/発表者名
      Fukuyama, T.; Mukai, Y.; Ryu, I.
    • 雑誌名

      Beilstein J. Org. Chem.

      巻: 7 ページ: 1288-1293

    • DOI

      10.3762/bjoc.7.149

    • 査読あり
  • [学会発表] Continuous Flow Microreactor for Efficiency in Organic Synthesis2012

    • 著者名/発表者名
      Ilhyong Ryu
    • 学会等名
      2nd International Conference of the Flow Chemistry Society(招待講演)
    • 発表場所
      Germany, Munich
    • 年月日
      2012.3.14
  • [学会発表] Formaldehyde as a Radical Acceptor2011

    • 著者名/発表者名
      Takuji Kawamoto, Takahide Fukuyama, and Ilhyong Ryu
    • 学会等名
      5th Pacific Symposium on Radical Chemistry(PSRC-5)
    • 発表場所
      和歌山
    • 年月日
      2011.9.25
  • [学会発表] フロー系反応デバイスによる有機合成:最近の進捗2011

    • 著者名/発表者名
      柳 日馨
    • 学会等名
      日本プロセス化学会2011ウインターシンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011.12.9
  • [学会発表] Tin-free One-carbon Homologation Reactions2011

    • 著者名/発表者名
      Takuji Kawamoto, Takahide Fukuyama, Ilhyong Ryu
    • 学会等名
      Green Chemistry 2011 Innovations 3rd Asia-Oceania Conference on Green & Sustainable Chemistry
    • 発表場所
      Australia
    • 年月日
      2011.12.4
  • [学会発表] Radical Hydroxymethylation of Alkyl Halides Using Formaldehyde2011

    • 著者名/発表者名
      Ilhyong Ryu
    • 学会等名
      The 36th Annual Synthesis Symposium
    • 発表場所
      Australia
    • 年月日
      2011-12-02

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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