一酸化炭素を有機化合物に導入するカルボニル化法は合成化学的に重要であるが、一酸化炭素は有毒であり高圧ボンベからの直接使用が煩雑なことから多くの合成化学者においては「避けたい試薬」となってきた。本研究では一酸化炭素保持型分子をスクリーニングし、これをカルボニル化反応へ活用できる手法の開発を検討した。ギ酸の濃硫酸による脱水反応により発生させた一酸化炭素を広範なカルボニル化に供するためには酸と発生した一酸化炭素を効果的に分離する手法が必要となる。特殊な PTFE 膜によって一酸化炭素を酸から分離する方法を検討し、さらに分離した一酸化炭素をパラジウム触媒によるカルボン酸アミドの合成に供することとした。また一酸化炭素存在下、NHC・ボランとヨードベンゼンを用いて光照射下でベンジルアルコールへの増炭素型変換反応を検討した。
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