本申請課題は、太陽電池パネルや自動車のフロントガラス等に用いられている超撥水表面の耐久性を革新的に向上させることを目的とする。超撥水表面は、平滑な表面では得られず、雨などの水滴よりも微細な表面凹凸構造によってもたらされる。しかし、微細構造の強度が低いく、接触破壊や劣化に伴う構造崩壊により、超撥水性の耐久性が悪いという難題がある。本研究では、高強度な素材から成る微細構造保護層と加工性に優れた柔軟な素材から成る超撥水微細構造層とが水滴よりも十分小さいナノ~サブマイクロスケールでハイブリッドした階層表面を作製し、高耐久性と超撥水性を併せもつ新規超撥水表面を創成し、超撥水表面の耐久性向上のための新原理を提案する。 超撥水階層構造作製プロセスの確立を目指し、規則的なマイクロメートルスケールの空孔を有するポリスチレン系などの汎用高分子から成るハニカム状多孔質膜を出発材料とし、エポキシ系などの硬化な高分子水溶液に浸漬後に溶液を加熱し、孔内のぬれ性を変化させて一部の孔内に溶液を浸透させ、紫外線照射または加熱により孔内の高分子を硬化させた後、ハニカム膜を割く工程により、規則的な高分子柱状構造中に硬化した高分子がドーム状に分布している微細階層構造を得た。得られた微細階層構造の超撥水性を自動接触角計で測定可能な静的接触角・動的接触角・転落角により評価し、ガラス基板、高分子フィルム、シリコンウェハ等に対する超撥水表面の耐摩耗性を評価した。ハニカム状多孔質膜の作製条件を調節することで孔径や膜厚を変えることができ、保護層のドーム構造の分布割合は、孔内で硬化させる高分子の割合を温度や圧力等の導入条件を変えることで制御できた。最適化した超撥水階層表面の耐久性評価を試みた結果、数マイクロメートルのドーム構造に最適条件があることがわかった。
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