研究課題/領域番号 |
23655098
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (00152455)
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研究分担者 |
竹内 大介 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (90311662)
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キーワード | パラジウム錯体 / 環化重合 / 立体選択性 / 低対称構造 |
研究概要 |
本研究の目的は、C1対称構造(低対称構造)のジイミン配位子を有するニッケル、パラジウム錯体触媒を新たに合成し、重合反応触媒に用いることである。具体的には官能基化した1,5-ジエンの立体選択的な環化異性化重合を検討し、五員環と炭素数1-10個のポリメチレンスペーサーとを交互に含み、かつ五員環がアイソタクチック型の立体化学をもって配列したポリマーの合成を実現する。 本年度は新たに低対称構造をもつ触媒を合成し、これを用いるジエンの環化重合において、中程度のアイソタクチック性の結果を得た。ジエンの置換基をメルドラム酸、環状アセタールなどの環構造に固定した時にはその選択性は高く、三連子の選択率で60-80%に達した。一方で非環状の置換基をもつジエンの環化重合では立体選択性は低く、配位子および触媒の対称構造の効果が顕著でないことがわかった。 全体として、低対称構造の触媒を用いる重合反応で立体選択性が生じたことは極めて新規性が高い結果である。すなわち、低対称構造の触媒によっても立体選択性が発現し、さらにその重合反応結果と錯体構造、特に対称性が明確になった。このような反応の研究成果の報告例は高分子合成分野では極めて少なく、また広く合成化学の分野においても例のない結果である。特に前年度に合成した錯体触媒と比較することによって錯体構造と重合の選択性との関連を明らかにすることができたことは大きな研究の進展であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規構造をもつ低対称構造の金属錯体触媒を新たに合成し、その立体選択性を評価することができた。前年度の成果とあわせて研究目的の基本的な部分を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が最終年度となり、本研究の成果を系統的に整理する必要がある。したがって新たな触媒の開発とともに、研究期間を通じて、用いた触媒の種類と重合反応の選択性、立体選択性を多角的に比較しつつ、実験をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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