研究課題
本年度は二原子分子や脂質ミセルのモデル分子を構築し、様々な条件下での引き込み現象の分子動力学シミュレーションによる研究を実施した。前年度の研究結果では、分子密度が均一な高温状態では二原子分子振動の引き込み現象の観測は困難であった。一方、低温状態では二原子分子がクラスター化して、一部の少数分子クラスター内では分子振動に引き込み現象が観測された。本年度では二原子分子や脂質ミセルの振動モデル分子を構築し、様々な条件下での溶媒中の二個の分子間で振動引き込み現象の解析を行った。溶媒のない状態(真空中)かつ低温状態でのシミュレーション結果からは、粒子数、体積、温度が一定の条件下で振動の引き込み現象が観測できた。一方、粒子数、体積、エネルギーが一定の条件下では観測できなかった。そこで熱浴を含む粒子の運動方程式はファンデルポール方程式に帰属できることを示し、シミュレーション中の熱浴による相互作用が引き込み現象の原因であることを示した。次に溶媒中のモデル分子のシミュレーションを実施した。低密度溶媒中の分子間では引き込み現象は観測できなかったが、高密度溶媒中の二分子間では引き込み現象が誘発されることが分かった。以上の結果から分子振動の引き込み現象は高密度の溶媒中で誘起される可能性が高いことが示すことができた。今後の課題として溶媒の粘性や物性と分子の引き込み現象に関する研究が挙げられる。
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